阪神・秋山 遅咲き13年目で初の大台 空白の開幕投手には「名乗る資格まだない」 まずは規定投球回超え

[ 2021年12月9日 05:30 ]

契約更改を終え、1億円の大台に乗りポーズをとる阪神・秋山(代表撮影)
Photo By 代表撮影

 阪神の秋山拓巳投手(30)が8日、西宮市内で契約更改を行い、5900万円アップの年俸1億1000万円でサインした。来季13年目にして初の大台に到達した生え抜き右腕は、候補にも挙がる開幕投手に関しては一時封印。今季を上回り自己最多となる13勝などキャリアハイの成績を残して、チームを優勝に導く決意を口にした。

 シンプルでも、重みのある言葉で秋山は大台到達を宣言した。

 「乗りました」

 09年のドラフト4位で入団し、来季が生え抜き13年目となる右腕は、浮き沈みを経てきた。プロ野球選手として誇れる1億円プレーヤーの仲間入り。それでも、30歳は立ち止まることなくもっと先にある景色を見据えた。

 「うれしい気持ちもあったんですけど、頑張ればもっと稼げる世界。もう次のことを考えている。そんな浸ることはなかった」

 V逸への悔恨、何より主力としての自覚があるからこその言葉と姿勢だろう。今季は開幕からローテーションの一員として登板間隔の長短にも対応。リーグでは唯一となる2年連続の2桁勝利をクリアしても、満面の笑みとはいかない。チームは春の快進撃から一転、最後は勝率5厘差でヤクルトにかわされ、てっぺんに立つことはできなかった。

 「後半、消極的になったり。その辺は僕たちの世代が引っ張っていくことによって若手も付いてきてくれる。来季は今年のようなことがないように、開幕したところから最後を見据えてやれれば」

 言葉と背中でけん引するために、個人としてもさらなる高みを目指す。進化の余地として挙げたのは、17年の1度だけで今季まで4年連続で規定未到達のイニング数。「(1年間ローテを守りながら)2年連続イニング消化できてないんで、まずは規定投球回数を超えることを目指して」とノルマに設定した。

 現時点で空白となっている開幕投手に関しては、名乗りを上げなかった。「名乗る資格がまだない。規定も乗ってない。来年もっとしっかりイニングを消化してチームに勝ちをつけて、そういうことができたら手を挙げたい」。プレーヤーとして“完全体”でないからこそ大役にはまだ色気を見せない。

 1億円という年俸だけでなく、地道な取り組みでストレートの精度も高めてきた。「スピードは出ないけど、阪神の先発の中で一番って言っていいくらいストレートを投げていますし」。こだわりの球種は唯一無二の武器。まだ見ぬ自分を体現する1年が始まった。(遠藤 礼)

 ▼阪神・嶌村聡球団本部長(年俸1億到達の秋山について)2年連続2桁勝利は立派。防御率も2点台ですし。高校から入ってきて地道に努力を積んで、あそこまで行けるという一つの見本になると思う。

 ○…来季13年目の秋山(神)が1億1000万円で更改。阪神の生え抜きでは04年桧山進次郎、09年関本賢太郎と並ぶ1億円のスロー到達で、投手では04年藪恵壹の11年目を抜いて最も遅い記録となった。

続きを表示

2021年12月9日のニュース