【新井さんが行く!】「選手にウソつかない」侍ジャパン栗山新監督が大切にしていること

[ 2021年12月7日 05:30 ]

侍ジャパン・新監督就任会見に臨む栗山氏(撮影・白鳥 佳樹)
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 やっぱり求められる人は、すぐに求められる。ゆっくりさせてはもらえない。栗山英樹さんのことだ。日本ハムで10年間の監督を終えたばかり。少しは休みたいところなのに、侍ジャパンの監督に就いた。

 各球団を訪問する毎春キャンプ。お会いして話をするのが楽しみな1人が栗山さんだった。共感できること、勉強になることがたくさんある。前の日から“何を聞こうかな”と待ち遠しかった。練習中の忙しい時間を割いて、いろんな話を聞かせてもらった。

 監督として一番大切にしていることは?その答えが特に印象的だった。「選手に対してウソをつかないこと」。本人の前では建前、裏では違うことを言う――それが「一番ダメなこと」と教わった。いつも本音で真正面から向き合う。褒めるときも、叱るときも、心から。その積み重ねで関係を築いたから、長くチームを率いることができたと強く感じた。

 16年秋。初めての日本シリーズで対戦したのが日本ハムだった。選手の立場でも凄みが分かった。マツダスタジアムで2連勝してから札幌へ。第3戦から日本ハムの戦い方が大きく変わった。とにかく動いて攻める。押し切られるように4連敗した。優しくて温厚なイメージなのに、選手起用も作戦も攻撃的。そのギャップが印象に残り、当時から話を聞いてみたいとずっと思っていた。

 動くことはリスクがあるし、勇気もいる。失敗の責任はすべて負う…という覚悟。監督の腹が据わっているから、選手も思い切ってやれる。決して下馬評は高くないのにリーグ優勝2回、日本一1回。短期決戦での実績もある。いまの球界で名将と呼ばれるうちの1人だと思う。

 東京五輪で金メダル。プレミア12を含めて国際大会を2度続けて優勝したことで、期待は高く、重圧は大きい。次の目標は23年予定のWBC。準備期間は短い。回数を重ねるごとに大会の価値が上がり、各国ともメジャー選手が、しかも以前より本気度を増して参加してくる。厳しい戦いになる。そう考えると、やっぱり栗山さんしかいないかもしれない。栗山さんのファンの1人として楽しみだし、応援したい。(スポニチ本紙評論家)

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2021年12月7日のニュース