【松坂大輔さん引退あいさつ全文】悔しい経験をバネに挑戦し続けてきたことは自信を持って誇れる部分

[ 2021年12月4日 18:10 ]

<LIONS THANKS FESTA 2021>ファンに手を振りグラウンドを去る松坂(撮影・尾崎 有希)
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 西武は4日、メットライフドームでは3年ぶりとなるファン感謝イベント「LIONS THANKS FESTA 2021」を開催。今季限りで現役を引退した松坂大輔さん(41)の引退セレモニーが行われた。

 23年間の現役生活に別れを告げ、「平成の怪物」がユニホームを脱いだ。ファンに、恩師に、仲間に、そして家族に――プロ野球選手生活が始まった地で、心からの感謝を伝えた。

 マイクを持った松坂さんはまず、セレモニーを用意してくれた球団関係者に、そしてメットライフに駆け付けたファンに感謝を述べ、「僕は今日をもちまして、23年間の現役生活を終え、引退します」とあいさつ。そして海を渡りレッドソックスに移籍した06年にうまく思ったことを伝えられなかった自身の反省から、「同じ思いをしたくない」と右後ろポケットから用意した紙を見ながら話し始めた。

【松坂大輔さん引退あいさつ全文】

 野球を始めた時から応援していただいた方、ライオンズに入団してから応援していただいている方、ケガをしてから応援していただいている方、たくさんの方に支えてもらいました。本当に長い間、ありがとうございました。

 僕の現役時代の、原動力は応援していただいている方に、喜んでもらいたいと思い、頑張ってきました。one for all,all for oneという言葉がありますが、one for all、一人は皆のために――僕はこの言葉を胸に刻み、投げ続けてきました。

 僕が投げてきたことで、少しでもファンの方が喜んでくれたり、勇気やパワーを送ることができていたのなら、こんな姿になっても、まだまだ投げ続けたいと思いながらやってきて、本当に良かったと思います。

 小さい頃から投げること、打つことが大好きで、引退を決める直前まで、もっと投げたい、もっとみんなと勝ちたいと、思っていた僕ですが、最後は普通に投げられなくなるまで、野球を続けてくることができて、本当に幸せでした。プロ生活の後半は故障ばかりでしたけど、僕を生んでくれ、育ててくれた両親に感謝しています。小さい時から常に僕と比較され、苦しい時期を過ごしたこともあった弟にも感謝しています。若い時から引退する時まで、僕のわがままを許してくれた妻、子供たちにも感謝しています。妻のお母さん、天国で見守ってくれている妻のお父さんにも感謝しています。

 ただ、ここまで来る中で、たくさんの方に、たくさんの不満や迷惑を掛けてきたことも、事実です。改めて、申し訳ありませんでした。

 こんな僕に投げる場所を与えてくれたライオンズ、ホークス、ドラゴンズ、レッドソックス、インディアンス、メッツ、そしていつも僕の気持ちを奮い立たせてくれたファンの皆さま、感謝しています。ありがとうございました。

 そしてこれからもプレーしていく選手の皆さんへ。誰でも、いつかやめる日が来ます。選手の時間は無限ではありません。悔いの残らないように、日々を過ごしてください。引退試合の時にも言いましたが、トレーニング、体のメンテナンスには、十分、お金をかけてあげてください。それが、いつか自分にいい結果として帰ってくるはずです。もしそれが結果に結びつかなかったとしても、一生懸命に考え、実践したことは無駄にはなりません。

 23年間やってきた中で、たくさんのうれしい経験、悔しい経験をしてきましたが、いつでも悔しい経験の方が強く残っています。その悔しい経験をバネに僕は挑戦してきました。そこは自分が自信を持って、誇れる部分だと思っています。今の結果に満足している選手は、誰一人としていないと思いますが、その時その時の結果に満足することなく、うれしい経験、悔しい経験をたくさん積み重ねて、信念を持って、上を目指していってほしいと思います。その経験、思いを、これからの世代に紡いでいくことができれば、またライオンズの黄金時代がやってくるのではないかと思っています。

 これからは一人の野球ファンとして、埼玉西武ライオンズの明るい未来を楽しみにしています。

 最後に。改めて、23年間、長い間、支えていただき、前に進むために、背中を押していただき、本当にありがとうございました。
 

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