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阪神ドラ1・森木を育てたライバルたち 明徳、高松商…強敵に鍛えられ、敗れながらも成長

[ 2021年12月1日 05:30 ]

阪神新人連載「猛虎新時代の鼓動」1位・森木(下)

7月28日、高知大会決勝で明徳義塾に敗れ、代木(右)と涙ながらに言葉を交わす森木

 1年夏の初対戦から731日。今夏の高知県大会の決勝で再び明徳義塾に敗れた大智は大粒の涙を流した。酷暑の中、8回までに120球を投げて6四死球。6犠打で重圧もかけられた。2―2の9回は死球と連続暴投で無死三塁。「右手に力が入らなかった。修正しようにも手が言うことを聞かなかった」。マウンドから左翼へ回った後、3点を奪われた。入学当初に立てた「甲子園出場5回」の目標の前に最後まで宿敵が立ちふさがった。率いたのは馬淵史郎監督だった。

 「待つ作戦はなかったよ。指示は好球必打だけ。大事な場面で変化球でかわしてくるから怖さはなかった。そのピッチングをされたら勝機はある…と」

 2年半をかけて「森木対策」を練り上げた。入学時から対戦を見据え、トレーニング器具を新調。150キロ超の直球や130キロ後半のスライダーに対応するマシン打撃も恒例とし、当初は前へ打球を飛ばせなかった各打者が徐々に対応できるようになった。甲子園常連の強豪を大智が本気にさせた。

 名将は一度だけ会話したことがあった。「たわいもない話をしたけど性格は真面目そうやった」。度胸が加わり、開き直って直球で押されたら、なすすべはないと分かっていた。20年から高校日本代表の監督に就任。「(コロナ下で中止になった国際大会が)開催されていれば間違いなく推薦していた」と実力を認めていた。

 忘れられない敗戦は、もう1試合ある。2年生秋の四国大会1回戦。高松商に9回147球で11安打を浴びて2―5で敗れ、翌年の選抜出場が絶望になった。高松商・長尾健司監督は、「球に勢いがあるから、当てただけでも反発してヒットゾーンに返っていく。バットに当たる瞬間に止めるぐらいの気持ちで、当てにいくバッティングをしていい」と指示を出した。球速150キロに設定した打撃用マシンの球を見るだけの練習をさせ、バットに当てる確率を上げた。

 入学間もない春の四国大会で対戦。「将来性があって、これからどんどん伸びていく素材」と直感した。両校は定期的に練習試合する間柄。「さわやかでね、しっかりと目標を見据える目をしていたので輝いている。上でやれる子だな、と」。会うたびに成長し、オーラをまとっていったという。

 攻略に精力を注いだ両監督は「中学から騒がれて、3年間プレッシャーが大きかったのでは…」と口をそろえて気遣った。大智にとってもライバルと戦い、鍛えられ、敗れた日々は礎だ。「甲子園の土を踏めなかった悔しさを原動力に活躍したい」。届かなかった聖地がプロでは本拠地になる。(石崎 祥平)

 ◇森木 大智(もりき・だいち)2003年(平15)4月17日生まれ、高知県土佐市出身の18歳。蓮池小1年から蓮池ホワイトシャークでソフトボールを始め、3年時から高岡第二イーグルスで軟式野球を始める。高知中では軟式野球部に所属し3年春夏の全国大会で優勝。高知高では1年春の四国大会からベンチ入りし、1年夏には背番号1。甲子園出場はなかった。1メートル84、90キロ。右投げ右打ち。

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