有藤通世氏 オリックス・太田が見せた20歳の勇気 流れ変えたラッキーボーイの「布石」

[ 2021年11月26日 05:30 ]

SMBC日本シリーズ2021第5戦   オリックス6-5ヤクルト ( 2021年11月25日    東京D )

<ヤ・オ>5回、左前打を放つ太田(撮影・大森 寛明)
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 【有藤通世氏 シリーズ大分析1】オリックスが土俵際で踏みとどまり、待望のラッキーボーイも出現した。スポニチ本紙評論家の有藤通世氏(74)は、高卒3年目で今シリーズ初出場し、スタメンで起用された太田が放った7回の適時三塁打がチームに流れをもたらしたと分析した。その一打の「布石」は5回、バットを折られながら内角球を安打した場面にあった。

 結果には、そこに至るまでの「布石」が見え隠れする。オリックスに流れを呼び込んだのは高卒3年目の若武者。7回に一時勝ち越しとなる右中間三塁打を放った太田だ。その快打へと続く道筋は、5回の第2打席から引かれていた。

 2死無走者。バットを折られて詰まりながら左前に運んだ。得点には絡まない単なる1本のヒットだが、これが太田には大きかった。ヤクルト先発・原に初球から外、内、外、外、外、内、内と揺さぶられる。3球目は外角のボールになるスライダーを空振り。本人は「しまった」と思ったはず。その思いにつけ込むように、ヤクルトバッテリーが選んだ最後の7球目は原の決め球である内角シュート。厳しいボールに対して、その場で体をくるりと回転させる打撃で安打にした。

 私も同じ右打者だが、若い太田には「詰まる怖さ」はなかっただろう。当たってもいい、ぐらいの気迫でいたはずだ。3敗を喫して後のない5戦目。初めてスタメンで起用され、初安打を打つことができた。これが「布石」。気持ちも楽になり、自信にもつながった。そして何より、次の打席で腰を引かずにボールに立ち向かう姿勢が生まれた。

 同点の7回1死二塁では、相手バッテリーは外角攻めを選択。太田は初球の直球を見逃して、2球目の外角スライダーを逆方向の右中間にはじき返した。初球は打つ気なし。最初から外角スライダーを待っていた。その前の打席で内角を攻められた残像に負けず、腰を引くことなく外角球を狙い打ち。若者の勇気、見事だった。

 この三塁打から、オリックス打線は9回までに3点を追加。20歳の太田がチームに勇気を、元気を与えた。布石となった1本の詰まった安打が、シリーズ自体の流れも変えるかもしれない。

 ≪大舞台で苦手克服≫太田はレギュラーシーズンでは151打数26安打、打率.172だった。この日の1安打目だった内角高めはシーズンでは2打数無安打。2安打目の外角の真ん中も15打数2安打(打率.133)と打っておらず、大舞台で苦手なコースを克服してみせた。

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