残像消えないあの日の空振り三振 PL学園出身記者が心待ちにする岩本輝氏との語らい

[ 2021年11月13日 09:00 ]

09年3月28日、センバツ・南陽工戦の5回、空振り三振に倒れたPL学園時代の石崎記者
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 阪神・秋山投手との対戦について触れた10月27日アップの前回コラムに引き続き、PL学園出身の記者が甲子園での“激闘”にお付き合いください。09年の選抜大会1回戦で“伊予ゴジラ”と呼ばれた現阪神・秋山拓巳投手の西条に1―0で勝利。ベスト8かけた2回戦ではこちらも元阪神、当時2年生の岩本輝投手を擁する山口・南陽工と対戦しました。

 7日目第3試合、この日も2番・遊撃で出場した記者に好機が回ってきました。0―0で迎えた5回1死三塁。序盤の2打席で、三塁内野安打と四球を選び、意気揚々と打席に入った3打席目に落とし穴が待っていました。戦前の南陽バッテリーの配球データでは、落ちる系の多投はなく直球主体の組み立てが中心。ましてや三塁に走者を置き、捕逸リスクが高まる状況ではなおさら来ないと…。右腕は、初球から4球連続フォーク。情報違いの投球に惑わされ、簡単に追い込まれた時点で万事休す。カウント2―2から8球目の内角直球に空振りし、後続も連続三振に倒れ、それ以降チームもことごとく凡打の山を築き、膠着(こうちゃく)状態のまま終盤へ進んでいきました。

 自軍の先発左腕も圧巻の投球を見せ、9回を終え無安打の快投で延長戦に突入。しかし、疲れの見えた始めた10回に、4安打を浴び2失点。その裏、1点を返したものの1―2で敗戦しました。岩本投手は1人で10回を投げ抜き、169球6安打1失点の熱投で、2試合連続完投。PL学園が9回まで1点でも取っていれば、大会史上13人目となるノーヒットノーラン。大記録をアシストできなかったことに悔いが残ります。

 翌年夏の選手権には、ドラフト候補として出場した“津田恒実2世”は2010年に阪神からドラフト4位指名を受け入団。その後、福井ミラクルエレファンツ、オリックスと渡り歩き、2020年1月からは「タイガースアカデミーベースボールスクール」の専属コーチを務めています。あれから12年。あの空振り三振の残像はまだ消えていません。そんな昔話を岩本輝と、できることを心待ちにしています。 (記者コラム・石崎 祥平)

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2021年11月13日のニュース