終盤戦はロッテ・河村の季節 球団新人65年ぶり開幕4連勝 首位オリックスに0・5ゲーム差

[ 2021年10月7日 05:30 ]

パ・リーグ   ロッテ4ー2西武 ( 2021年10月6日    ZOZOマリン )

<ロ・西>西武に快勝!わくわくポーズの荻野貴(手前)と河村(撮影・長久保 豊)
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 その興奮は1、2度では抑えられなかった。実に6度。ロッテ・河村は右手でグラブを叩き続け、ピンチを切り抜けるスーパープレーを称えた。

 痛烈な打球が左中間を襲った。「最悪だ。完全に抜けた」。同点も覚悟した。1点リードの3回2死二塁。中村に投じた直球を捉えられた。ところが、中堅手・岡が一直線に打球を追いかけ、最後はダイビングキャッチ。「感情を抑えながら投げたい。そんな理想を持っている」としているルーキーだが、こんなスーパープレーを見せられたら自然と感情があふれ出た。

 6回に中村にソロを浴びたが、自己最長イニングで4安打2失点。「球速が出なかったが、出ない日は最後まで出ないので変化球を交ぜながらやった」。1メートル92の長身から150キロの速球も誇るが、この日は140キロ台前半。優勝争いを繰り広げる中で、割り切って打たせる投球に徹する老練ぶりだった。

 開幕から中継ぎ起用され、7月からは先発転向し、無傷の4連勝。チームは1974年以来となる「勝率1位」でのリーグ優勝へ進むが、河村がより古い球団史を呼び起こした。新人投手の開幕4連勝は、球団では毎日時代の1956年に左腕・小野正一がマークして以来、実に65年ぶり。通算184勝でプロ野球歴代13位の通算2244奪三振を誇る小野は、シーズン33勝、同258奪三振、13連勝など数々の球団記録を持つレジェンドだ。

 3連勝となったチームは敗れた首位オリックスに0・5ゲーム差に迫った。井口監督は「丁寧に投げてくれた。序盤は中継ぎで頑張って、大事なところで先発に回っていい仕事をしてくれている」と新人右腕を称賛。亜大を中退し、星槎道都大に再入学してドラフト4位で入団した苦労人。「入団した時から優勝に貢献したいというのが、ずっと目標にあった」。しびれる争いの中で、河村が欠かせない戦力となった。(横市 勇)

 《最短9日マジック点灯》パは首位のオリックスが敗れ、2位のロッテが勝利。ゲーム差は0.5に縮まった。ロッテの最短マジック点灯日は9日で、7日の楽天戦から9日の日本ハム戦で3連勝か2勝1分け、その間にオリックスが連敗すればM11が出る。なお、オリックスの最短M点灯は12日。7日から4連勝し、ロッテが5連敗の場合はM6が出る。

 ◇小野 正一(おの・しょういち)福島県いわき市出身。磐城高から常磐炭鉱などを経て、1956年(昭31)に毎日(現ロッテ)入団。大毎時代の60年には球団記録の33勝を挙げ、最多勝、最優秀防御率、最高勝率を獲得。同年のリーグ優勝に貢献し、大毎黄金期のエースとして活躍した。その後、大洋(現DeNA)、中日に移籍し、70年に現役引退。通算成績は184勝155敗、防御率2・80。2244奪三振は歴代13位。03年に69歳で死去。

 ▽1956年(昭31)の主な出来事 7月に気象庁が発足し、9月に文部省が初の全国学力調査を実施。11月には東海道本線が全線で電化した。12月23日に中山競馬場で「第1回中山グランプリ」が開催。翌57年から「有馬記念」と改称された。経済白書が発表した「もはや戦後ではない」が流行語となり、石原裕次郎が映画「太陽の季節」でデビューした。

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