広島・誠也 厳しいマークに苦しみ、連続試合アーチは「6」でストップ「負けたので仕方ない」

[ 2021年9月11日 05:30 ]

セ・リーグ   広島1ー4阪神 ( 2021年9月10日    マツダ )

<広・神(17)>7回2死一塁、広島・鈴木誠は三ゴロに倒れる (撮影・奥 調)
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 広島・鈴木誠也外野手(27)は10日の阪神戦で2打数無安打に終わり、連続試合本塁打は「6」でストップ。72年王貞治(巨人)と86年バース(阪神)に並ぶプロ野球記録の7試合連続には届かなかった。4打席のうち申告敬遠を含む2四球と相手バッテリーの厳しいマークもあり好機に恵まれなかった。打線は1得点のみで、6回3失点だった大瀬良大地投手(30)を援護できず。4位浮上から、わずか一日で5位に後退した。

 誰もが歴史への挑戦を強く意識していた。鈴木誠は、打席に入るたび、人一倍大きな拍手で迎えられた。相手バッテリーは四球覚悟で厳しく攻め続け、佐々岡監督も「なかなか勝負してこない場面もあるだろうと考えていた」と振り返った。周囲の騒がしさをよそに、鈴木誠本人は勝負だけに集中。「負けたので仕方ない」。記録よりも1得点での敗戦を何よりも悔しがった。

 本塁打を狙うには極めて厳しい4打席だった。初回1死一、三塁では西勇に内外角を厳しく突かれた末の四球。3回2死一塁でもフルカウントとなり7球目のチェンジアップで遊ゴロに抑えられた。同点の5回2死二、三塁では申告敬遠で勝負を避けられた。そして、7回2死一塁では2ボールから及川のやや甘く入ったツーシームを三ゴロ。以降、打席は回らず連続試合本塁打は「6」で止まった。

 今回の6試合連発ではプロ野球史上初となる5試合連続で1打席目に本塁打を放つ快挙も達成していた。試合の最初からタイミングが合うところに状態の良さが見える。「自分の間合い、スイングができているから、詰まろうが先っぽだろうが安打の確率は上がる。それが今のところ、はまっている」と話す。

 金メダルを獲得した東京五輪を終え、迎えたリーグ戦再開直後は状態が上がらなかった。8月26日の巨人戦で後半戦1号を放つまで15試合60打席本塁打なし。「打撃に何が必要なのか考えなおした」。打撃フォームのみならず、睡眠や体のケア、トレーニングなど、考えられる全ての項目を見直した。このストイックさが球団最長に並ぶ本塁打記録につながったのだ。

 9日のお立ち台では「順位は厳しいけど、一試合のために(球場で応援してくれる)ファンのみなさまの、少しでもいい思い出になるように頑張ります」と誓っていた。歴史的な瞬間を目の当たりにできるかもしれなかった4打席。プロ野球記録には届かなくても、コイ党を十分に楽しませた夜だった。
 (河合 洋介)

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2021年9月11日のニュース