阪神、でっかいドロー! 糸井が執念の代打同点打「巨人には絶対に負けられない。気持ちのこもった3連戦」

[ 2021年9月6日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神6ー6巨人 ( 2021年9月5日    甲子園 )

<神・巨18> 7回、同点の適時二塁打を放ち、ポーズを決める糸井(撮影・平嶋 理子)         
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 阪神は5日の巨人戦で6点差を追いついて4度目の引き分けに持ち込み、前夜に奪い返した首位の座を守った。6回に敵失に乗じた打者10人攻撃で4点を返し、7回は代打登場した糸井嘉男外野手(40)が同点二塁打を放った。約2カ月ぶりの激突だった今回3連戦は逆転で連勝した過去2戦を含めて優勝を争う宿敵に大きなダメージを与えた。

 糸井は高ぶる感情を二塁上で一気に爆発させた。ベンチへ向かって両手を上下。球場中の熱気を背中に集め、天に昇華させているようだった。

 「勝ちたい、ただ、その思いだけでした」

 5回終了で0―6。敗色濃厚の中盤から驚異的な追い上げに転じた。6回に4得点の反撃。1点差に迫った7回、なお2死一塁で出番が来た。

 「どんなに点差があっても攻めていく、勝つという思いで一体となって戦えてる」

 白熱の展開に途中から割って入る登場でも落ち着いていた。デラロサに対して2球連続空振りで追い込まれても、全く動じない。粘って5球目のチェンジアップを捉えた打球は左中間を真っ二つ。一塁走者・糸原を同点の本塁へ迎え入れる二塁打で、ついに6点の劣勢をはね返した。

 若手の多いチームにあって“優勝を知る”唯一の選手。勝負の季節を迎え、直近7試合の代打成績は6打数4安打を誇る。長くレギュラーを張り、試合途中からの出場は未知の部分がまだ多い。できるのは、ひたむきに準備することだけだ。

 代打を告げられる8時間以上も前から佐藤輝ら若手に交じって早出特打に参加。「数少ない打席の中で結果を出すという、そこには練習が必要なんで。必要と思ったから出ただけ」。あるかないか分からない夜の1打席のため、残暑の残る昼から額に大粒の汗を浮かべて一心不乱にバットを振った。

 7月に満を持して開設したツイッターアカウントでは持ち味の“超人節”を連日のように発信。大山の逆転サヨナラ弾で連勝した前夜は「しびれたっ!!(中略)とらほー!!!(中略)」とおびただしい「!」を添えて歓喜を表現するなど、グラウンドでの躍動だけでなく“つぶやき”でもファンをしっかり魅了している。

 「巨人には絶対に負けられない。チーム全員ですごく気持ちのこもった3連戦でした。これからも勝ちに貢献する一打を打てるように」

 両軍とも死力を尽くした引き分け。3年ぶりの巨人戦3連戦3連勝は逃しても、諦めない姿勢を体現した最年長40歳の勇姿は、白星に相当する“付加価値”になった。(遠藤 礼)

 《巨人戦では11年ぶり》阪神が0―6から同点に追いつき、巨人と引き分けた。阪神が巨人戦で6点以上の劣勢から負けなかったのは10年4月13日(東京D)0―6→○9―7以来11年ぶり。甲子園に限ると76年9月7日の0―6→○9―8以来。

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