日本ハム・宮田 支配下選手昇格3日目でプロ初盗塁だ!初生還だ!

[ 2021年9月3日 05:30 ]

パ・リーグ   日本ハム6-6オリックス ( 2021年9月2日    札幌D )

<日・オ>8回、プロ初盗塁を決めた宮田(撮影・高橋茂夫)
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 日本ハムは2日のオリックス戦に6―6で引き分けた。5連勝目前の9回にブライアン・ロドリゲス投手(30)が4点差を追いつかれる悔しい結末だったが、強い輝きを放った新星がいた。支配下選手昇格3日目の宮田輝星(ほくと)外野手(23)が8回に代走で登場し、プロ初盗塁となる二盗成功。さらに石井一成内野手(27)の左前打で際どいタイミングの本塁生還を果たした。

 補強期限いっぱいの8月31日に支配下選手登録され、新しい背番号69を手に入れたばかり。前日1日に代打で1軍デビューした宮田は「明日以降の代走の方が緊張すると思う」と話していた。その出番が、8回に来る。1死から中前打で出塁した王柏融の代走だ。

 「行け、と言われてベンチを出るまでが一番緊張していた」

 一塁に立つと呼吸が落ち着いた。投手ヒギンスのモーションを1球見る。2球目、「行くのが仕事」とスタートを切ると、捕手の若月は送球を焦ってボールをこぼした。プロ初盗塁だけでも見事。しかし、本当の見せ場はこの後だった。

 2死二塁で打者・石井。詰まった打球が左前に飛ぶ。外野は1点阻止の前進守備で、左翼・吉田正はショートバウンドをうまく捕ると無駄なく本塁返球してきた。かなり際どいタイミング。勢い良く突っ込んできた宮田の左足が最後にスッと本塁に伸び、若月のタッチをかいくぐった。

 鹿児島で過ごした中学時代。「ユーモアのある同級生がいた」という。宮田のスライディングを見て、「時空を超えるようなスライディング」とピンときた。タッチしようとする捕手の動きがスローモーションに見えるほどの、宮田の瞬間芸。出水中央高、福岡大でもその異名で通った。「走りながら、倒れている。走っていながら斜めになっているだけというか…。滑っている感じはない」というのが自身の感覚だ。

 「相手が嫌がっていたので、プロでも継続しようと決めている」

 厳しい競争の世界を生き残る上でオリジナルの武器は頼もしい。高2の春にがんで亡くした父・成男さんに、19年育成ドラフト指名後の帰省時に「2年以内に支配下になり、3年で活躍できなければ諦める」と誓っていた。2年目で最初のハードルを越え、母・裕美子さんには「おめでとう。ケガなく頑張りなさい」と励まされた。

 野望がある。「僕は昨年のドラフトで五十幡が指命を受けた時、(23年開業の)新球場で1、2番を組んだら面白いと思った。新球場で俊足のラインアップ。ファイターズとして新しくていいんじゃないかと思う」。プレーも、思いも、勢いがある。チームを上昇させるのはこういう男だ。(和田 裕司)

 ◇宮田 輝星(みやた・ほくと)1997年(平9)12月2日生まれ、鹿児島県出身の23歳。出水中央から福岡大に進学し、大学3年春に俊足を生かすために両打ちに転向した。19年育成ドラフト1位で日本ハムに入団。昨季はイースタン・リーグ40試合で打率・319、13盗塁。今季は58試合で打率・277、2本塁打、8盗塁で8月31日に支配下選手契約を結んだ。1メートル77、75キロ。右投げ両打ち。

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