二松学舎のプロ注目左腕・秋山正雲 ピンチで直球、直球また直球4安打9奪三振 極上139球

[ 2021年8月21日 05:30 ]

第103回全国高校野球選手権大会2回戦   二松学舎大付2―0西日本短大付 ( 2021年8月20日    甲子園 )

<二松学舎大付・西日本短大付>6回2死満塁、西日本短大付・穴井を空振り三振に抑え、ガッツポーズをする二松学舎大付・秋山(撮影・坂田 高浩)
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 1回戦1試合、2回戦3試合が行われた。二松学舎大付(東東京)は今秋ドラフト候補に挙がる秋山正雲投手(3年)が西日本短大付(福岡)を相手に4安打完封勝利をマーク。2―0で勝利し3回戦進出を決めた。19日に5回途中で雨でノーゲームとなった第1試合は開始が約1時間遅れる中、近江(滋賀)が日大東北(福島)を8―2で下した。

 直球、直球、また直球――。まるで別人のように、一気にギアを上げた。待ちに待った甲子園のマウンド。プロ注目の左腕、秋山はひたすら力で押した。

 「一番自信があるのがストレート。先制点を取られちゃいけないと思って投げた」

 5回まで無安打の快投。0―0で迎えた6回1死満塁から直球を連発した。相手は西日本短大付の5、6番。ともに1―2と追い込んで142キロの直球で空振り三振に斬った。「秋山らしい。ピンチで気持ちが入り、抑えることで流れが来る」。市原勝人監督の言葉通り、敵失に乗じてその裏に2点を挙げた。

 最速144キロの直球は打者の手元でさらに伸びる。7回1死一、三塁もオール直球で後続を断ち9回も直球だけで3者凡退。単打4本、9奪三振の完封劇で同校を3年ぶりの夏1勝に導いた左腕は強気のギアチェンジについて「エースの自覚です」と言った。強い責任感。それは同校OBで荒川リトルシニアの先輩でもある広島・鈴木誠から学んだもの。4番の重責を背負い、苦境でも勝利をもたらすプレーをする。侍ジャパンの4番で金メダルに輝いた東京五輪もテレビ観戦し「凄く励みになった」という。

 普段は変顔で仲間を笑わせる普通の18歳。それがマウンドでは人が変わる。ただクレバーさも兼ね備える。長引く悪天候でぬかるむマウンド。いつもはプレートの一塁側を踏むが「緩くて(踏み出す右足が)滑る」と判断した。序盤から球速を抑えながらバランスよく投球できる場所を探し、3回から三塁側を踏んで投球。「違和感はなかった。(三塁側を使って投げる)練習もしているので」と涼しい表情で振り返る。

 度重なる日程変更による難しい調整を乗り越え、魂を込めて139球を投じた。見据えるのは頂点。投げて、投げて、投げ抜く――。(秋村 誠人)

 《市原監督の82年春以来 甲子園完封勝利》二松学舎大付の秋山が完封。同校で甲子園完封勝利は、82年センバツ1回戦の長野戦で現監督の市原勝人が達成して以来39年ぶり2人目で、夏は初めてだ。なお、二松学舎大付は4度目の夏の甲子園出場で、全て初戦を突破。過去3度は2戦目で敗れているが今回は壁を破れるか。

 ◇秋山 正雲(あきやま・せいうん)2003年(平15)4月29日生まれ、千葉県出身の18歳。小1で野球を始め、東深井中では荒川リトルシニアでプレー。二松学舎大付では1年夏からベンチ入り。名前は三国志好きの父・正典さんが登場人物の関羽雲長、趙雲子龍から「雲」の字を取る。趣味は釣り。50メートル走6秒3。遠投90メートル。1メートル70、75キロ。左投げ左打ち。

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