「グラウンドで引退できる」コロナ下で…球児たちの心の強さを感じた「感謝」の言葉

[ 2021年8月6日 08:00 ]

7月23日の八頭戦。8回から登板し、泥だらけのユニホームで力投する米子松蔭・西村虎之助主将
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 今まで当たり前だと思っていたからこそ、米子松蔭・西村虎之助主将(3年)の「多くの方々が協力、支援してくださったおかげで、僕たちはグラウンドから引退することができる。感謝しかない」という言葉にはハッとさせられた。

 「グラウンドで引退できる」。記者が球児の時は考えもしなかった。勝つか負けるか。試合があるのが「当たり前」だったから。ただ今は違う。新型コロナウイルスによって今までの「当たり前」が制限されることが多くなってしまっている。高校野球では昨夏は甲子園が中止になり、各都道府県で独自大会が開催された。高校球児にとって全てと言っても過言ではない甲子園。昨夏は目指すことすらできなかった。

 岩手、神奈川、西東京、東東京と4つの地方予選決勝を取材した。全ての現場で共通して聞こえてきた言葉がある。「大会を開催させてもらったことに感謝したい」。建前ではなく心の底から出てきている言葉に感じた。親元を離れての寮生活や厳しい練習、激しいレギュラー争いなどを経て、2年半の集大成である夏の大会に全てをぶつける。勝っても負けても、その集大成を発表できる場所があるということに喜びの声があがっていた。

 「ありがとうと素直に言える人は強い。感謝できる人になりなさい」と学生時代に言われていた言葉を思い出す。自分本位で考えていては感謝すべきことに気づかない。野球においても、応援してくれる家族がいて、練習をともにする仲間がいて、指導者がいて、相手がいて、審判がいる。さまざまな支えがあって初めて成り立つ。このコロナ下で不完全燃焼に終わった球児も多いはずだが、優勝したチームだけでなく、甲子園の夢が破れたチームの選手からも聞こえた「感謝」の声に今の球児たちの心の強さを感じた。

 9日から始まる2年ぶりの夏の甲子園。野球ができる喜びを球児たちは心の底から表現してくれるはずだ。コロナに邪魔されず代表49校が最後はグラウンドで終えられることを願っている。(記者コラム・小野寺 大)

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