花巻東に大谷魂!雄星魂!「大きな夢を与えてくれた」先輩に続くコールド発進

[ 2021年7月16日 05:30 ]

第103回全国高校野球選手権岩手大会2回戦   花巻東11―4高田 ( 2021年7月15日    岩手県営 )

<花巻東・高田>試合開始の整列後、笑顔で守備位置へと向かう花巻東・佐々木(左から2人目)=撮影・河野 光希
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 「大谷魂」で初戦突破だ。花巻東は15日、岩手大会で高田との2回戦に臨み、11―4で8回コールド勝ちした。佐々木洋監督(45)はエンゼルス・大谷翔平投手(27)、マリナーズ・菊池雄星投手(30)を育てた恩師。MLBのオールスターに史上初めて投打二刀流で出場した大谷と菊池からエールをもらい、3年連続(昨季の独自大会は除く)となる夏の甲子園出場を目指す。

 前日に行われた、メジャーリーグのオールスター。メンバーに選出された菊池と大谷が、花巻東のユニホームを掲げ「花巻から世界へ」というメッセージを発信した。

 日本の球宴に同じ高校出身の選手がそろって出場するだけでも珍しいのに、世界最高峰の舞台に2人が立った。教え子の粋な演出に、佐々木監督は特別な思いを抱いていた。

 「ありがたい気持ちでいっぱい。彼らは志高く、高校時代からメジャーに行きたいという気持ちを持っていた。ああいう舞台に立って、サインを書いてもらったのは、本人たちの高い志で必然的な出来事だったんじゃないかなと思っています」

 佐々木監督の指導の根幹にあるのは「物事を非常識で考える」こと。昔からの慣例だから、他の高校でもやっているから――。それでは誰もやったことのない偉業は、達成できない。

 例えば、試合前のシートノック。三塁ゴロから始める高校が圧倒的に多い中、「左打者が多くなってきた時代では、右方向のディフェンスが重要になる」と、二塁ゴロからノックを打つこともある。

 例えば、目標設定。菊池の背中を追って大谷が入学した当時、「雄星さんみたいになりたい」という目標に、ダメ出しした。「○○みたいになりたい、ではそのちょっと下で終わる。超えたいと思ってやらないといけない」と説いた。大谷が3年夏に160キロを計測した背景には、明確な目標設定があった。

 普段から、重たい荷物を持っている人には手伝いを申し出る。道に落ちているゴミは、誰もいないときでも拾う。運気が上がる行為は、野球でのプレーで返ってくる。大谷は普段の試合だけでなく、オールスターでも行い、話題になった。大先輩がスーパースターになっても実践している花巻東の伝統は今も受け継がれている。

 「子供たちの作文がプロ野球選手からメジャーリーガーに変わるんじゃないかなと思っています。彼らのやったことは岩手の子供たちに大きな夢を与えてくれた。また、次から次へとああいう選手が岩手から出てくると思っています」

 「岩手から日本一」を掲げる花巻東は、夏の初戦をコールドで飾った。佐々木監督は東北勢で初の甲子園優勝を見据えている。前例のないことへの挑戦に、今年も燃えている。(川島 毅洋)

 《09年春準V&夏4強》花巻東は02年の佐々木監督就任後、春3度、夏8度と甲子園常連校に仲間入り。菊池は07~09年に在籍し、09年はエースとして春夏連続出場。春は岩手県勢として初の決勝進出、夏は4強入りした。菊池が卒業した後の10年には大谷が入学し、11年夏、12年春と2度出場したが、いずれも1回戦敗退。3年夏は岩手大会準決勝で160キロを計測したが、決勝で敗れ最後の夏を終えた。他にプロ野球の現役選手では15年夏にエースを務めた高橋樹也(広島)がいる。

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