侍ジャパン 仙台での球宴→強化合宿 “偶然の産物”なぜうまく生かさなかったのか

[ 2021年7月16日 09:00 ]

オールスター第2戦が行われる楽天生命パーク宮城
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 東京五輪に出場する侍ジャパンは19日から仙台市内で強化合宿を開始する。五輪の初戦は28日に福島県営あづま球場で行われる1次リーグ・ドミニカ共和国戦。31日に同・メキシコ戦を経て、ノックアウト方式の変則的なトーナメントへ進む。

 その合宿の直前、17日には同じ仙台でオールスター第2戦が行われる。こちらは2011年の東日本大震災から10年の節目を迎えた復興支援の一環。その11年以来10年ぶりに仙台でオールスターが行われる。

 何のいたずらか。オールスター戦に出場する侍ジャパン選出選手たちは、移動の負担を強いられることもなく強化合宿へ突入することができる。これは移動の負担を考慮した日程ではなく、あくまで偶然の産物である。

 ご存じの通り、新型コロナウイルスによるパンデミックが発生していなければ、東京五輪は2020年に開催されていた。その場合、オールスター戦は第1戦がペイペイドーム、第2戦がナゴヤドーム(現バンテリンドーム)での開催予定だった。当初の予定通りに五輪が行われれば、侍ジャパン選出選手は名古屋から仙台へ移動して合宿を迎えていた。

 ならば思う。この偶然の産物を、なぜうまく生かさなかったのかと。侍ジャパン選出の24選手中、実に21選手もが今回のオールスターに選出されている。一方で、今回のオールスターに選出された選手総数は64人。外国人選手も含むが、43人が代表選外の選手たちだ。であれば、従前のオールスター戦2試合にとどまらず、侍ジャパンVSそれ以外のオールスター選手といった図式の壮行試合の開催も視野に入れられる「偶然の産物」だったのではないか。

 選手に負担を強いるこうしたエキシビションマッチの増設は、ハードルが高いことは重々承知の上である。侍ジャパンは24日に楽天、25日に巨人と強化試合を経て、東京五輪に挑む。強化試合に求められる意味合いという点では、単一球団相手の試合でも十分に満たすことはできる。それでも日本球界を代表する選手たちが64人も代表合宿直前に、仙台に集っているのだ。ちなみに08年北京五輪の直前には、日本代表対パ・リーグ選抜とセ・リーグ選抜の壮行試合が計2試合組まれていた。

 08年の日本代表はパ選抜を一蹴したものの、セ選抜には敗れた。まだ結成直後。その中から見つかる課題も本番に生かすことは出来る。復興五輪と銘打った福島での開幕戦は、感染拡大の余波から残念ながら無観客開催が決まった。一方で仙台でのオールスター戦や強化試合は有観客開催を維持している。ならばこそ、東北のファンの前でできる「もう1試合」が見たかった思いは残る。(記者コラム・後藤 茂樹)

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2021年7月16日のニュース