巨人・北村「神様が打たせてくれた」地元・金沢で凱旋弾 巨人28年ぶり勝利の主役

[ 2021年6月23日 05:30 ]

セ・リーグ   巨人6ー1DeNA ( 2021年6月22日    金沢 )

<巨・D>4回1死一、二塁、左越え3ランを放った北村(撮影・島崎 忠彦)
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 凱旋弾で28年ぶりの金沢勝利を引き寄せた!巨人・北村拓己内野手(25)が22日、石川・金沢でのDeNA戦に「8番・二塁」で先発出場。4回に貴重な追加点となる左越え1号3ランを放つなど、2安打1四球3打点の活躍を見せた。地元・星稜出身でプロ4年目の若武者が故郷で、3連勝の主役になった。

 北村が感謝の思いをバットに乗せた。地元・金沢での凱旋試合。大歓声を浴び、喜びをかみしめた。

 「いい時も悪い時も前を向いて必死にやることを貫いている。それで神様が打たせてくれたと思います」

 3―1の4回1死一、二塁。高めの直球を左翼席へ運んだ。コロナ下で球団としては2年ぶりの地方球場での主催試合、金沢では6年ぶりの一戦で1号3ラン。3回の左前打を合わせて2安打3打点の活躍に、スタンドでは両親や祐奈夫人、長女のほか、星稜時代の監督や仲間が喜ぶ姿があった。

 2歳上の兄・祥治(トヨタ自動車内野手)の後を追い、小2で野球を始めた。めきめきと上達。芽生えたのは「もっと野球がうまくなりたい」という思い。祥治も通った実家から自転車で10分ほどの強豪・星稜中に進んだ。

 星稜3年夏の甲子園出場を決めたのがこの球場。投手が三振を取って聖地への切符をつかんだ瞬間は忘れない。「あの光景は、球場に入った瞬間に思い出しました」。思い出の詰まった場所に8年ぶりにプロ野球選手として帰還し、貴重な一発を放った。

 チームの同球場での勝利は、93年6月9日のヤクルト戦以来28年ぶり。伊藤智仁(現ヤクルト投手コーチ)に16三振を奪われ無得点の9回2死、篠塚のサヨナラ弾で勝った伝説の一戦だ。当時1年目でベンチ入りしていたのが星稜、巨人OBの松井秀喜氏。現役選手だった原監督は「僕なんかいくつ三振したか分からない」と懐かしみ「松井ぐらい北村も大きく育って(ほしい)」と期待した。

 「拓己」の名前は「己で道を切り拓(ひら)く」という両親の願いが込められた。「ファンの方々が背中を押してくれるパワーを感じた。もう忘れることはない」。松井氏は金沢で試合出場がかなわなかった。ゴジラも打てなかった凱旋弾。格別だった。(田中 健人)

 ≪93年金沢での巨人勝利≫ヤクルトの新人右腕・伊藤が、当時セ・リーグタイ記録の16奪三振などの快投で9回2死まで無得点。だが、途中出場の篠塚がプロ18年目で初の右越えサヨナラ弾を放って勝利した。第2次長嶋政権の初年度で、プロ1年目の星稜出身の松井も凱旋試合だったが、接戦で出場機会はなかった。

 ▼巨人・北村の父・英治さん(ネット裏で観戦)2軍にいた時期が長かったので、こっちにくると思わなかった。(地元で)1軍でスタメンで出るなんて一生に一回だと思う。感動しました。

 ◆北村 拓己(きたむら・たくみ)1995年(平7)8月29日生まれ、石川県出身の25歳。星稜では3年夏に甲子園に出場。亜大では主将を務め、ベストナインを2度獲得した。17年ドラフト4位で巨人入団。20年1月に元「アイドリング!!!」伊藤祐奈さんと結婚し、第1子が誕生した同年8月4日の阪神戦でプロ初本塁打を放った。1メートル81、90キロ。右投げ右打ち。

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