阪神・小野寺 記念球は女手一つで育ててくれた「お母さんに」、育成出身2年目恩返しの初安打

[ 2021年6月11日 05:30 ]

交流戦   阪神4ー2日本ハム ( 2021年6月10日    札幌D )

<日・神>5回無死、小野寺はプロ初安打となる中前打を放つ(投手・アーリン)(撮影・椎名 航)
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 2試合連続で「7番左翼」で出場した阪神・小野寺が、5回にうれしいプロ初安打を記録。節目の一歩を踏み出した。

 「この前1軍に上がって1打席で落ちて。今回は“戦力やぞ”って言われて、スタメン起用していただいたんで、何とか期待に応えたい気持ちで試合に出ました」

 5回先頭で迎えた第2打席だ。2球続けて空振りの後、122キロカーブを捉えてアーリンの足もとを抜く中前打。「どうしても早く1本打ちたいという気持ちで、自分で自分を追い込んでいた」。通算7打席目での記念打だったが、塁上で浮かべたのは歓喜の笑顔ではなく安どの表情だった。「愛されキャラ」の一打がチームを勢いづけ、中野の先制打につなげたと言えた。

 ようやく同じ舞台に立てた。大商大時代の同級生、橋本(中日)、大西(ヤクルト)が1年目から1軍で出場する中、自身は目標の支配下契約を勝ち取れず。今年の年始、毎年3人で初詣に訪れる大阪・箕面市の勝ち運の寺「勝尾寺」で、2年目の躍進を誓った。

 そして、努力も重ねた。初めて1軍で過ごした今春キャンプでは「周りのレベルが高すぎて、自分が一生懸命やってみんなの8割と一緒。手を抜く余裕がない」とレベルの高さを痛感。「違う意味でも、しっかり追い込めている」と朝から夜間練習まで懸命にバットを握った。ようやく、「第一歩」を記した。

 記念球は「お母さんにあげたい」と中学の時から女手一つで育ててくれた母・由子さんへ渡す。「チャンスをもらったら、打ったり守ったり、自分ができる仕事全てで勝ちに貢献できるようにやっていきたい」。感謝の思いを胸に、恩返しの一打を積み重ねていく。(阪井 日向)

 ◇小野寺 暖(おのでら・だん)1998年(平10)3月17日生まれ、奈良県出身の23歳。京都翔英では甲子園出場なし。大商大では2年秋からリーグ戦に出場し3年春、4年春にリーグMVP。19年育成ドラフト1位で阪神入り。21年4月19日に支配下選手登録され、同24日に1軍初昇格。1メートル83、79キロ。右投げ右打ち。

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