球場の雰囲気に変化、観客動員も増え…NYに戻りつつある「かつての日常」を大切に

[ 2021年6月7日 09:00 ]

ニューヨークのヤンキースタジアム(AP)
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 今月4日、沢村拓一投手(33)が所属するレッドソックスとヤンキースの対戦を取材するため、4月18日以来、久々にヤンキースタジアムを訪れると、球場、記者席の雰囲気は確実に変わっていた。

 新型コロナウイルスのワクチン接種者は、もう球場入りの前に検査を受けて陰性を証明する必要はない。記者席ではマスク着用も免除。関係者用のダイニングでは水のボトルだけではなく、コーヒーのマシンが置かれたのも大きな変化に感じられた。まだ「着席時のソーシャルディスタンスを順守」「トイレに一度に入れるのは2人まで」「食事の提供なし」といった制約は残っているものの、通常に戻りつつあるのが確実に感じられる。

 球場の観客動員も徐々に増えている。2日にはアンドリュー・クオモ市長がヤンキースと同じニューヨーク市内に本拠地を置くメッツの試合では11日(日本時間12日)から収容人数の90%の動員が始まると発表。4日のヤンキース対レッドソックス戦には今季最多1万8040人の観衆が集まった。開幕から制限を設けなかったレンジャーズ(テキサス州)などと比べると少々時間はかかったが、他の多くの街同様、パンデミック開始前のように、ニューヨークの球場にも満員のファンが集まる日は間近に迫っている。まだ油断できないとはいえ、規制だらけの少々寂しい野球観戦の終わりが見えてきているのだ。

 「お客さんが入ってプレーするというのは、コロナ前だったら当たり前のような日常でした。それが当たり前じゃなくなった。観に来てくださるファンの声援っていうのは当たり前じゃなかったんだなと、身に染みて感じる今の世の中です。ボストンも観客の入場制限がなくなって、これからもっともっとお客さんが増えるでしょう。そういった声援に応えられるように頑張りたいです」

 5日のリモート会見時、沢村に観客増加に関して尋ねた際、返ってきた言葉も印象的だった。「当たり前のことが当たり前じゃなくなった」からこそ、それらが少しずつ手元に戻ってきた今、余計にありがたみを感じるのだろう。

 時を同じくして、4日の夕方には全米野球記者協会(BBWAA)からも嬉しいニュースが届いた。7日(同8日)から、ワクチンを接種した記者はフィールドに下りることが可能になるという。リモート取材が当たり前になった今、ほとんど信じられないことのように感じられるが、もうすぐ選手との対面取材が再びできるようになる。かつての日常が少しずつ戻ってくることを喜びつつ、今後はもうこれを当たり前などとは思わず、毎日の取材活動を大切にしていきたいと心に誓う。(記者コラム・杉浦 大介通信員)

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2021年6月7日のニュース