「令和の怪物」はまだダイヤの原石 スピードと制球を両立したとき、強烈な光を放つ

[ 2021年5月29日 14:30 ]

<神・ロ>初勝利を飾った佐々木朗希と井口監督(撮影・平嶋 理子)
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 「令和の怪物」をどう表現したらいいのだろうか。ロッテの佐々木朗希のことだ。「未完の大器」。ちょっと違う。150キロ台を連発し、制球力もある。決して荒削りではなく勝てる力はある。実際、プロ2度目の先発となった27日の阪神戦でプロ初勝利を挙げた。

 ただ、本来の力を発揮できているかと言えば、そうとは思えない。高校時代に自己最速の163キロをマークし、プロ初の実戦形式となった昨年5月のシート打撃でもいきなり160キロを計測した。
 デビューした16日の西武戦、プロ初勝利を挙げた今回、いずれも5回4失点だった。直球の最速もいずれも154キロ。1軍レベルでは打たれてしまう球速だし、変化球の精度もまだまだ。特に内角を攻め切れていないから打者に踏み込まれる。

 今は制球を重視するために力みをなくし、球速をセーブしている。ただし、佐々木朗本人はこう言っている。「やっぱり、僕は投手は球威、球速だと思うので、160キロをコントロールできる投手になって変化球も含めて、先発でゆくゆくは160キロのコントロール投手になりたい」。

 スピードと制球の両立。これができるようになったとき、本領を発揮する。高3年夏の岩手大会決勝では故障防止のため、先発を回避した。身長が伸びている成長過程だったためだ。プロ2年目を迎え、1メートル90ある身長は頭打ちだと聞く。体は横に広がっていく段階に入り、下半身の強化も加わって故障しない体になりつつある。

 動作解析の第一人者である筑波大の准教授で、野球部監督の川村卓氏は「球速だけで言うと、(日本最速の大谷の165キロを)超えていくのは間違いない。下半身から上半身に力がもっと伝えられるようになれば、170キロは不思議じゃない」と語っている。

 もちろん、170キロは将来的な楽しみ。150キロ台後半から160キロを試合で投げられうようになれば、そう簡単には打たれないし、勝てる投手になるはずだ。巨大なダイヤの原石。その表現が一番しっくりくる。(記者コラム・飯塚 荒太)

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2021年5月29日のニュース