7試合で8アウト東洋大・細野晴希の“魔法のけん制”を元NPB審判員記者が検証

[ 2021年5月12日 09:30 ]

けん制球を投じる東洋大・細野(撮影・河野 光希)
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 東都大学リーグは大学球界最高峰のレベルの選手が集い、激しい入れ替え戦もあることから“戦国東都”と呼ばれる。昨年はDeNA・牧、巨人・平内らを輩出。その舞台で異例のプレーが続いている。

 東洋大の150キロ左腕・細野晴希投手(2年・東亜学園)が、7試合の登板で8つのけん制アウトを記録。局面を変える必殺技に、杉本泰彦監督は「(走者は)リードをしない方がいいですよ」と笑う。

 記者は元NPB審判員で2軍戦、オープン戦も含めて6年間で700試合以上を担当。30個以上のボークを宣告した経験がある。当時の癖が抜けず、けん制アウトを連発する投手を見るとまず「ボーク」のラインを基準に観察してしまう。

 10日の駒大戦。先発した細野は初回と3回に一塁けん制でアウトを奪った。1つ目はバックネット裏から、2つ目は一塁側スタンドに移動して“ジャッジ”してみた。ボークを宣告しなかった現場の審判員と同様にやはり、ボークは宣告できない。規則違反の動作はなかった。

 なぜ、アウトを連発できるか。答えは右足の使い方にあった。

 公認野球規則には【自由な足を振って投手板の後縁を越えたら、打者へ投球しなければならない…】とある。つまり、サウスポーの細野は上げた右足がプレートを越えた瞬間、けん制ができなくなる。ただ、細野はこのタイミングが他の投手と比べて、極端に遅い。

 右足のスパイクを顔の高さまで上げて反動をつけるフォーム。投球の体勢に移行する寸前まで右足はプレートを越えない。ギリギリまで打者と一塁のどちらにも投げることが可能なフォーム。それが走者を幻惑する。さらに、見極めようとする走者には、クイックのけん制でアウトにする二段構えで彼は無双状態だった。

 最後に対処法を考えてみた。中大・古賀悠斗(4年・福岡大大濠)が4月21日の対戦でとった方法しか思い浮かばなかった。6回にけん制死した彼は、9回に出塁すると、ほとんどリードを取らなかった。まさに杉本監督が言った通り。ただ、それも細野にとっては「してやったり」の状況に変わりはない…。(記者コラム 柳内 遼平)

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