サニブラウンに勝った男、日本ハム・ドラ2五十幡やはり異次元!プロ初安打即プロ初盗塁

[ 2021年5月10日 05:30 ]

パ・リーグ   日本ハム3―6楽天 ( 2021年5月9日    札幌D )

<日・楽>5回2死一塁、二盗を決めた五十幡(撮影・高橋茂夫)
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 日本ハムのドラフト2位・五十幡亮汰外野手(22)が9日、楽天戦に「1番・中堅」で2試合連続で先発出場し、プロ初安打とプロ初盗塁を含む2盗塁を決めて異次元のスピードを披露した。小学校3年の時に亡くした母・恵子さんにささげる母の日の活躍で、感謝の気持ちを体現した。チームは逆転負けを喫し、今季最多4連勝はならなかった。

 速い。速過ぎる。中学3年時に全日本中学陸上の100メートルと200メートルでサニブラウンに勝った男がついにベールを脱いだ。左手には母に感謝を示すピンクのリストバンド。恵子さんへの思いを胸に、五十幡が疾走した。

 「ラッキーヒットではあったけど、やっとスタートできる大切な1本になった。天国にいるお母さんにしっかり伝えたい。(初安打の記念球は)家族に贈りたい」

 最初の見せ場は5回2死だった。五十幡対策で楽天内野陣が走者なしでも併殺シフトのような前進守備。その中でドラフト1位左腕・早川の内角直球に詰まらされながら三塁後方に落ちる遊撃内野安打を記録した。前日のプロ初打席から7打席目で初出塁すると、ファンの視線を一身に集めた。

 そして、すぐさま期待に応えた。栗山監督が「自分の使命を覚悟していた」と評した、次打者・杉谷の初球での動き。早川から2球けん制を受けた後にスタートを切り、2秒97で二塁に達した。スタートを切った瞬間に「これはもらった」と確信する驚異のスピードに球場が沸いた。

 7回は1死一塁から宋家豪に遊撃正面へのゴロを打たされ、併殺かと思われたが、3秒90で一塁を駆け抜けて併殺を崩した。次打者・杉谷の2球目に再びスタート。塁間タイム3秒14でまたも二盗に成功し、杉谷の適時打で生還した。ともに初見の投手だったが、動画で投球フォーム、けん制の癖を研究していた成果を披露した。

 投手の始動から捕手の捕球までのクイックタイムは1秒2を切れば速い部類で、捕手の二塁送球は捕球から2秒以内が目安。これに内野手がタッチするまでの時間を加えた3秒4が守備側の平均タイムだ。五十幡の2盗塁はいずれもそれより早く、相手にとっては脅威だ。走塁のスペシャリストと呼ばれた元巨人・鈴木尚広氏の二盗タイムは2秒87。新人ながらその域に近づくスピードに、栗山監督は「本当にワクワクする」と絶賛した。

 試合には敗れたが、足で9698人の観衆を十二分に満足させた。「自分の足を生かすためにまずは出塁することが大事」。出塁率が高まれば、球界屈指のスピードスターに駆け上がる可能性を感じさせた活躍だった。(東尾 洋樹)

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