大谷翔平8号は“ふんわり弾”メジャー55本目で打球速度最遅156キロ

[ 2021年5月2日 02:30 ]

ア・リーグ   エンゼルス4―7マリナーズ ( 2021年5月1日    シアトル )

3回、勝ち越しソロを放ち、ベンチでハイタッチする大谷(AP)
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 エンゼルスの大谷翔平投手(26)が30日(日本時間1日)、マリナーズ戦に「2番・DH」で出場し、3回に一時勝ち越しとなる右越え8号ソロを放った。リーグトップに1本差に迫る4試合ぶりの一発はメジャー移籍後、最も遅い打球速度97マイル(約156キロ)で今季最短の飛距離364フィート(約111メートル)。苦しめられたチェンジアップをすくい上げた技ありだった。試合は逆転負けを喫した。

 大谷がすくい上げたとき、鈍い音がした。

 「グシャ」。バットの芯ではなく、先っぽで打ったことを意味した。打球速度はメジャー55本目で最も遅い97マイル。飛距離も今季最短の364フィートだったが、高々と舞い上がった打球は右翼席に届いた。

 昨季まで韓国・斗山でプレーした技巧派右腕フレクセンとの初対戦。初回は4球連続でチェンジアップを投げられ、左飛に倒れた。3回も2球続けて同球種を投げ込まれたが、2度目は通用しない。体重を軸足の左足に残してタイミングを合わせ、フォロースルーも大きく取ってスタンドまで運んだ。ジョー・マドン監督は「最初(初回)は2球空振りし、力ない左飛だったのに見事に修正した。彼は本当に賢い」と適応力を絶賛。技術論にも踏み込み「上体が突っ込まないからボールとの距離が取れる。だから打球が飛ぶ。彼はストロングだ。打席の中で修正を加えることができる」と解説した。

 本塁打になりやすい打球速度と打球角度を組み合わせた「バレルゾーン」は速度98マイル(約158キロ)以上、角度26~30度。もしくは速度116マイル(約187キロ)以上で角度は8~50度とされる。大谷の一発は97マイル、34度でどちらのバレルゾーンにも当てはまらなかっただけに、スポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」でエンゼルス番を務めるファビアン・アルダヤ記者は自身のツイッターで「Stupid Power(ばかげたパワーだ)」と驚きを持って伝えた。

 4月は代打も含め、全24試合に出場。日本ハム時代も含めプロ9年目で初めてのこと。しかもシーズン54本塁打ペースの8本塁打、19打点はチーム2冠。60試合制で放った7本を早くも上回り、メジャー2位タイの16長打、同4位の60塁打と圧巻の数字が並ぶ。投手としての次戦は3日(日本時間4日)のレイズ戦だが、「打者・大谷」を打線から外すことはできない。

 《ルース以来の先発投手&月間8発》米スポーツメディア「スタッツ・パフォーム」の公式ツイッターによれば、先発投手を務めた月に8本塁打以上を記録したのは1918~1921年のベーブ・ルース(レッドソックス、ヤンキース)以来、100年ぶり。ルースは同じ月に先発登板と8本塁打以上を4度記録している。(笹田幸嗣通信員)

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2021年5月2日のニュース