憧れの2人に少し近づいた日 阪神がドラ6中野の猛打賞で貯金7 今岡、鳥谷を夢見た少年が快進撃支える

[ 2021年4月12日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神3ー2DeNA ( 2021年4月11日    横浜 )

<D・神>9回2死一塁、阪神・糸井の右前打で一塁走者・中野は三塁を陥れる(撮影・大森 寛明)
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 阪神のドラフト6位・中野拓夢内野手(24)が11日のDeNA戦でプロ初の3安打を記録し、今季2度目の同一カード3連勝に貢献した。2試合連続で「8番・遊撃」を任され、4回に初適時打を左前へ運ぶなど同1位・佐藤輝より先に猛打賞を決めた。セ・リーグ5球団との対戦が一巡した15試合で11勝の快進撃。矢野監督の就任後最多タイの貯金7で2位・広島に2・5ゲーム差を付け、早くも独走態勢が見えてきた。

 初スタメンから2日目。出番に飢えていた中野は巡ってきたチャンスを逃さなかった。

 「正直うれしいの一言です。何としても活躍したい、強い気持ちを持って臨めた結果がいい結果につながったのかなと」

 4回1死三塁でカウント1―1から阪口の内角直球を左前へ。「何としても1点取りたいベンチの思いも踏まえて、やってやろうと」。佐藤輝を還し、一塁上で力強く右手を掲げた。3点差へ広げ、最後は1点差。この追加点が最後に効いた。

 関西圏から遠い山形県で生まれ育ち、父の影響で幼少期から熱心な虎党。少年時代は今岡誠(真訪=現ロッテヘッドコーチ)に心を奪われ、本格的に遊撃を守り始めた中学時代からは鳥谷敬(ロッテ)への憧れを抱き、今も持ち続けている。

 「鳥谷さんのようになりたいという思いで(プロに)入ってきたので、何としても追いつけるように」

 本職は遊撃でもキャンプ、オープン戦では二塁が主。途中出場が続いた開幕後も二塁が軸だった。限られた打席で結果を残し、つかんだ先発遊撃の座に熱い思いをたぎらせた。

 「スタメンで出てナンボだと思っている。新人王も、スタメンで出ないと、たどり着けないところだと思っている」

 2回は右前打、9回は三嶋のフォークをしぶとく中前へ落とし、打率・529(17打数9安打)。開幕戦での初安打に続き、初猛打賞も佐藤輝より早く、矢野監督にも「チームにとって、いい刺激になってくれている」と認められた。

 強打の佐藤輝、先発の伊藤将、救援の石井大、そして好打好守の中野。新人4人の存在は猛虎を活性化し、15戦11勝という快進撃を生む原動力の一つになった。「自分が勝たせるんだという強い気持ちを持って臨んでいるので、この連勝は非常にうれしい」。初のヒーローインタビューで初々しい笑顔を咲かせた。(阪井 日向)

 <中野アラカルト>

 ☆生まれ&サイズ 1996年(平8)6月28日生まれ。山形県天童市出身の24歳。1メートル71、69キロ。50メートル5秒9。遠投100メートル。右投げ左打ち。

 ☆球歴 小3から野球を始め、中学では山形シニアで遊撃。日大山形では2年夏から2番二塁で、夏の甲子園大会では県勢初の4強。3年は3番遊撃。東北福祉大では1年春からベンチ入り。三菱自動車岡崎では1年目から遊撃に定着し、19年の日本選手権では打率・421で4強入りに貢献。

 ☆初安打 3月26日のヤクルトとの開幕戦で7回から二塁に就き、9回2死の初打席で中前打。開幕2戦目の佐藤輝よりも早かった。

 ☆目立つ男 今春キャンプでは実戦初出場から4試合連続安打、3失策、3盗塁死。

 ☆趣味 ゴルフ(最高スコア98)。東北福祉大の5学年先輩の松山英樹とは在学中に対面したことがあり、「これからの人生で必要なこと」を教わった。

 ☆座右の銘 夢叶うまで挑戦。

 ▼阪神・井上ヘッドコーチ(プロ初適時打の中野に)体格も大きくないにもかかわらず、振るっていうことでは他の選手にない、いいものを持っている。それがいまのところは、すごくいい方向に出ているかな。

 《15戦11勝以上は5度目》阪神は11勝4敗で貯金を7とし、19年に矢野監督が就任して以降の最多(昨年11月7日と同11日最終戦)に並んだ。2リーグ制以降、15試合消化時点で11勝以上は08年に次いで5度目。ただ、過去4度はいずれも最終成績は2位で、優勝は巨人だった。

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