レンジャーズ有原 成功への鍵は制球力 背番号35の適応能力に期待

[ 2021年4月12日 10:30 ]

レンジャーズ・有原(AP)
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 2度の先発で合計9イニングを投げ、6安打5失点、防御率5・00。これらの数字からも明白な通り、レンジャーズの一員となった有原航平投手(28)は、順調な形でメジャーのキャリアをスタートさせたとは言えない。

 3日の初登板では4回まで4点の援護をもらいながら、5回にロイヤルズ打線に4本の長短打を集中されて降板。9日は序盤からストライクを先行できず、強力打線のパドレスを相手に5回を投げ切ることもかなわなかった。

 「試合には落ち着いて入れたと思うんですけど、やはりストライク先行ができなかったので苦しい投球になってしまいました」

 本拠地で大歓声を浴びながら、好投できずにメジャー初黒星を喫したパドレス戦後、有原の表情からは悔しさばかりがにじんだ。オープン戦から制球にばらつきがあり、特に相手が2、3巡目に甘い球を痛打されてしまうのが目に付く。下位打線までパワーのある選手が揃ったメジャーの厳しさを痛感している頃かもしれない。

 もっとも、首脳陣やチームメートからの信頼は変わっていない。9日の試合後、クリス・ウッドワード監督は「有原は問題ない」と話し、捕手のトレビノも「まだ2度目の先発だし、地元初登板だったから少しナーバスになっていたのだろうけど、彼は良かったと思う。大きなポテンシャルがある」と述べた。一定の評価を保っているのは、2登板の中で随所に良い部分を見せてきたからだろう。

 ロイヤルズ戦では4回までは2安打無失点。パドレス戦では常に走者を背負いながら、自責点は2点にまとめた。2試合とも中堅手が手痛いミスを犯す不運があったが、不本意な形で失点した後も顔色ひとつ変えずに投げ続けたことも、チームメイトには好印象だったはずだ。

 個人的にはパドレス戦の4回裏の投球に希望を抱かされた。連打で無死一、二塁のピンチを背負いながら、7番ファムをスライダーで遊ゴロ、8番キムをツーシームで三ゴロ併殺に。有原らしい投球でピンチを脱出した。

 「ゴロを打たせたいと思って、打たせることができた。ああやって狙ったところに投げてゲッツーを取れたのは良かった」

 試合後の有原の言葉からも伝わってくる通り、成功への鍵はやはり制球力に違いない。飛び抜けた球威を感じさせない有原にとって、米球界で「コマンド」と呼ばれる「狙ったところに投げる能力」は必須。特にメジャーではミスをすれば長打にされてしまう可能性は高い。逆に言えば、厳しいコースに投げている限り、ある程度は抑えられることも証明しており、あとはその精度を高める作業が重要になってくるだろう。

 「本当に素晴らしいピッチング。コントロールがすごく良くて、ああいうピッチングを僕もしたいなと思います」

 パドレス戦では相手の先発右腕マスグローブが球団史上初のノーヒットノーランを達成。抜群のコントロールを見て刺激を受けた様子だった。

 マスグローブもフォーシーム(直球)の平均球速は93マイル(約150キロ)程度だが、制球力と切れ味抜群の変化球でレンジャーズ打線を完全に封じ込めた。もちろんタイプ、持ち球の種類も違う2人を単純比較はできないが、100マイル(約161キロ)近い豪球がなくとも、コマンド次第で支配的な投球ができることを改めて示すパフォーマンスだった。

 まだシーズンは始まったばかり。メジャーのマウンド、ボールにも徐々に慣れてくる3戦目以降、有原もより安定した制球を披露して長いイニングの好投につなげられるかどうか。2登板目にして最高の手本を目の前で見せられた後で、背番号35の適応能力に期待したい。(杉浦大介通信員)

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