決勝打の阪神・陽川 「大浴場」も我慢して準備した努力 今季初スタメンで実を結ぶ

[ 2021年4月5日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神3-1中日 ( 2021年4月4日    京セラD )

<神・中>ファンの声援にこたえる陽川(撮影・大森 寛明)
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 渇望を快音に変えた。今季初スタメンの阪神・陽川が6回に勝ち越しの一打。待ちに待った出場機会で躍動し、チームの連勝に貢献した。

 「どんな形であれヒットはヒットなので。良かったです」

 二重の意味で追い込まれていた。1、2打席目はともに走者を置いた場面で連続三振。三たび巡ってきた6回2死一、二塁の場面でも2球で2ストライクを取られてしまった。

 「なんとか食らいついていくしかない」。ボール1球を挟み4球目のカーブにバットを伸ばした打球は、しぶとく三遊間を抜けた。マルテの激走もあり、価値ある適時打に。「初回と同じ場面で回ってきたので、次こそ絶対打つという気持ちで。何とかバットに当てることができた」と意地を見せた。

 開幕から8戦連続出場していた佐藤輝に代わり、今季初の先発出場。「普段と変わらず自分の力を出し切る」と気負わずグラウンドに飛び出した。一発こそなかったものの“本家”として4回にはドーム天井に上がる打球(ファウル判定)でゴリラパワーを誇示。7回の攻撃終了後にはナインとゴリラポーズで喜びも分かち合った。

 冬からの“備え”が実った。年明け1月は恒例の和歌山での単独自主トレを敢行。2軍公式戦も行われる野球場を貸し切って、充実の日々を過ごした。徹底したのは感染対策。昨年、シーズン中に陽性反応で戦線離脱を余儀なくされた苦い経験を持つだけに「気をつけすぎるぐらいに消毒とかはやっています」と、ホテルの自室と球場の往復だけに行動を制限した。夕食は近くのスーパーで弁当とお総菜を購入。練習パートナーの「大浴場いく?」の誘いにも首を振った。「チャンスも限られていますし、万全の状態でキャンプを迎えないと始まらない」。自分にできる最大限の準備を整え、来る時を静かに待った。

 「しっかり準備して結果を出し続けていくしかない」。愚直にその時を待つ。不変のスタイルだ。(遠藤 礼)

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