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オフから走り続けてきた 開幕戦の巨人・菅野

[ 2021年3月31日 10:45 ]

巨人・菅野(撮影・島崎忠彦)
Photo By スポニチ

 巨人の絶対的エース・菅野が、3月26日のDeNAとの開幕戦(東京ドーム)のマウンドに立った。結果は6回8安打3失点。「菅野智之」という名前から抱かせる期待感に比べれば物足りない数字に映ってしまうが、粘り、辛抱強い101球で試合をつくりチームに勝利を呼び込んだ。

 それから4日後の3月30日、出場選手登録を抹消された。球団によると脚の違和感を訴え、大事を取っての措置だという。開幕戦の登板は菅野本来の出来ではなかった。これも全て「菅野智之」ならではの期待値から来るものだが、いつもの針の穴に糸を通すような精密なコントロールで魅せる場面が少なく、やや制球に苦しんでいるようにみえた。原監督も「球数が多いということは、制球に苦しんだということじゃあないでしょうか」と投球を総括している。

 「言い訳できないくらい、いいコンディションです」

 開幕戦の前日、菅野はこう力強いコメントを発した。昨オフにはポスティングシステムを申請し、メジャー移籍を目指した。最終的には巨人への残留を決断したが、コロナ禍でメジャーリーグの開催も不透明さが多い中、人生の岐路に立った右腕の苦悩は想像を絶するものだっただろう。メジャー球団との交渉中には一方的に条件が報じられ、まるで条件だけを重視しているかのような本意とはまったく異なる内容の記事も散見された。巨人に入団した13年から4年間、担当記者として菅野を取材してきたが、そういった人間でないことは断言できる。非常に義理堅く、何事にも筋の通った男だ。本紙の取材でも「優勝を狙えるような強いチームに身を置き、成長する」という点を重要視していたことが分かっている。

 神経をすり減らす日々を送り続け、コロナ禍での渡米から帰国後は、約2週間の隔離期間も経験した。帰国後に開いたオンライン取材では「まだアメリカに挑戦するチャンスは残っていると思う。まずはジャイアンツの日本一へ、全力で頑張ります」と前を向いた。心身ともに疲弊し、例年に比べて調整期間も短くなることは分かっていた。それでも気丈に振る舞い、気持ちを切り替えようとしている姿は印象的だった。

 球団最多タイの7度目の開幕投手を終えた。球団新記録となる開幕戦5勝目を逃し「やはり、開幕は独特の雰囲気がありました。追いつかれはしましたが、追い越されなかったことが、自分の中では唯一良かった点だと思います。(勝利してくれた)チームに感謝しています」とすでに感じていたであろう脚の違和感に言い訳することはなく、謙虚に反省の言葉を並べていた。

 開幕前日に語った「言い訳できないくらい、いいコンディションです」。どうしても、本音とは思えない。強い責任感で常に気持ちを奮い立たせ、短いオフを休むことなく突っ走ってきたはずだ。抹消期間を有意義に使い、少しでも心身ともにリフレッシュして、再び「無双の菅野」を見せてもらいたい。(13~16年、菅野投手担当・川手 達矢)

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2021年3月31日のニュース