阪神・近本 「200安打計画」を初告白 尊敬する赤星憲広氏に続々吐露「打者タイトル獲りたい」

[ 2021年3月25日 09:30 ]

スポニチ評論家のキーマン直撃「オレがキク」

<阪神全体練習>ノックで笑顔を見せる近本(撮影・坂田 高浩)
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 赤星さんには、なんでも話しちゃいます!阪神の近本光司外野手(26)がスポニチ本紙評論家・赤星憲広氏とリモート対談を行い、200安打を打ちたい、最多安打のタイトルを獲りたいと明かした。1番、センター、盗塁王、大学→社会人出身、選手会長…と共通点の多いスピードスターの先輩に、26日のシーズン開幕からの健闘を誓った。

 赤星 開幕が近づいてきたけども、今年は初めて打順が1番で迎える。たぶん2番より1番の方がしっくりきているよね。

 近本 はい。昨年は自分の成長のための2番だと思っていたのですが、うまくいかなくて。今は1番なので、出塁して得点につなげるのが仕事だと思っています。

 赤星 自分も両方を経験したけど、役割は同じじゃない。2番はやっぱり制約がある。何も制約がなくて普通に打っていいと言われても、どうしても考えてしまう。

 近本 1個2個はありますね。

 赤星 どっちがいいかという話ではなくて、人によって合う合わないはある。2番をやった経験を生かさないといけない。

 近本 この2年間は全然いいスタートをきれていないので(※1)、ホントに今年は開幕から自分もチームも乗っていきたいです。

 赤星 盗塁王は当たり前として、長打も打てる。そんなスーパーな選手になってほしい。

 近本 僕も3年目はドーン!!って行きたいんですよ。

 赤星 この2年も結果を出しているけど、まだまだこんなものではない選手なのよ。

 近本 正直言いますと盗塁王だけでなくて、打者として野手として評価されたいんです。打撃3部門だったり守備のゴールデングラブ賞だったり、ベストナインだったり…。そっちの方が盗塁王よりも大きいイメージがあって…。

 赤星 1番打者なら、最多安打とかが最初に狙うタイトルなのかなあ。その後に首位打者も見えてくるというか。打つ方のタイトルを目指すのはすごくいいこと。

 近本 獲りたいんですよ。

 赤星 自分もまず最多安打を目指していた。

 近本 赤星さんは190安打してますよね。

 赤星 05年に190まで行ったんだけど、でも、同じ年に青木(ヤクルト)が200安打(202安打)したからタイトルは獲れなかった。

 近本 170安打以上も何度も(03、04、08年)されていて、やっぱりすごかったんだなあって思っています。僕はあまり四球をとるタイプじゃなくてどんどん行くので最多安打は狙いたいですね。赤星さんだから言いますけど、200本打ちたいんですよ。217(プロ野球記録は15年の西武秋山の216)とは言いませんが、200は打ちたいんですよ。

 赤星 近本みたいな1番打者で積極的にいくタイプの選手はチャンスはある。青木もそんなに四球は多くは無かった。

 近本 200本計画を考えています。

 赤星 ああ、いいねえ。それはどんな計画なの?

 近本 バットが体から離れないような角度で入ってボールをとらえられれば、スピン回転して内野の間を抜けたり、差し込まれても逆方向に内外野の間に落ちたり…。まだ完全にはできていないんですけど、それができれば、今年200本打てればそれはうれしいのですが、来年も再来年も見据えながら取り組んでいこうと計画しています。

 赤星 でも近本から大きな数字を聞くことができてうれしいなあ。

 近本 はい、全然、言わなかったですし、200安打計画も赤星さんだから言いました(笑い)。

 赤星 ぜひ今年狙って欲しい。

 近本 まだ6人(6人7度)しかしていないので難しいのかなあ、やっぱり。

 赤星 1番打者以外では厳しいだろうね。

 近本 1番打者でないのは、ラミレス選手が打ってるんですよ(※2)。

 赤星 めちゃくちゃ四球が少なかった。ところで、今年の1番のテーマは?

 近本 打撃です。毎年、やり方を変えているんです。

 赤星 特にどういうところ?

 近本 一般的な打撃練習って、バーンって長い時間打って自分の形を作っていくと思うんですが、そうじゃなくて間隔を短くしてセット数を増やすイメージです。例えばしっかりと自分の形まで10分打って、あえて少し休みの時間をつくって、また10分打って…という練習の方法でやってみたんです。それが良かったんです。うまくいかない時もありますが、そういう時もどういう修正をかけたらいいのかとか、そういうのを感じながら続けています。

 赤星 新たな取り組みにしてみて、オープン戦では結果が出たよね(※3)。

 近本 そうですね。結果は出ました。でも、やりたいことができた打席は少なかったです。

 赤星 え? そうなんだ。

 近本 あまり引っ張った打球でいいのがなかった。逆方向は納得した打球が多かったですが。

 赤星 (13日の西武戦で)左投手の浜屋から引っ張って右前打したり、右翼へホームランにしたりっていう打球もあったけど…?

 近本 (右前打は)自分の中ではセンターへのラインを出したつもりが、バットと体の距離が少し離れてしまったので思ったよりもボールの外側に当たっちゃったって(引っ張った)感じなんです。センターへ打ち返したつもりが、一、二塁間だったので…。

 赤星 すごい高度な話だ。

 近本 でも(次の打席の本塁打で)修正できたのかなとは思っているのですが。

 赤星 これまでも数字を設定して、その数字を目指してやるタイプではないのは知っているのだけど、もう今年は3年目なのである程度の数字は追い求めているのではないの?

 近本 う~ん、正直、まだ優勝できていないので、じゃあチームの勝利のために自分は何をするべきなのかを感じています。

 赤星 次は守備のことを聞きたいのだけど。佐藤輝が右翼で、サンズが左翼に入りそう。そうなると両翼への指示だったりポジショニング、守備範囲など考えることや負担は増えると予測するのだけど。

 近本 キャンプからやってきて自分からポジショニングを指示したりしました。サンズは昨年もいっしょにやっていますし…。あとは間(右中間、左中間)の声かけがまだちょっと。佐藤輝も元々は内野手なので、声を出すタイミングだったり、僕とのタイミングがまだつかめていないので。僕が感じたことはベンチでも話をしているのですが、そういうところは開幕までに合わせておきたいことですね。佐藤輝は足も速いので守備範囲も広いですし、飛球に対するハンドリングもいいので安心はしています。

 赤星 フライが上がったときに、近本は一瞬、目を切って右翼左翼の位置を確認できると思う。でも佐藤輝がそれができるかどうかだよね。ボールを追った時に近本がどのへんにいるのか、確認できれば声が通らなくてもアイコンタクトなどでカバーできる。それがもしできないのなら、二人の間で何か違う情報伝達の仕方を探していかないといけない。

 近本 それを考えてより大きい声を出したり、ジェスチャーを大きくしたことで、肝心の打球に対する距離感やグラブを出すタイミングがずれることがあるので、そこを崩さないようにやっていきたいですね。

 赤星 次は盗塁のことを聞きたいのだけど。3年連続盗塁王は獲ろうよ。

 近本 ハハハハハ~。獲りたいなあとは思いますけど。

 赤星 え?そんな感じ?ライバルいないじゃん!普通に獲れるじゃん!

 近本 う~ん、でも赤星さんのように50個も60個も走れないですし…。

 赤星 近本は1年目から2年目に成功率が上がったので、その成功率をキープしながら企図数を増やしてほしい。昨年も“ここは行けるだろう?なんでスタートしないんだ?”っていうシーンが何度も何度もあった。自分でもそれは思ってるでしょ?

 近本 はい、ありました。自分でも思ってます。

 赤星 体力も走るほどキツくなってくる。自分も大学、社会人を経由してプロに入ってきて、3年目から3年連続で60個走ったけど、それ以降になると年齢的にだんだんと体がしんどいのよ、やっぱり。だから近本も今年が3年目なんだから50、60を目指してほしい。その数字だけは掲げてほしい。

 近本 40個、50個して盗塁王はカッコいいのでそうしたいんですけど。でも、自分が60個とか想像がつかない。どんな体力してるんだろうって。

 赤星 143試合をプレーするスタミナはもうあるんだって。だからこの俺に誓ってくれよ。今年、まずは40個をクリアして、その先の50個、60個…って。

 近本 できたら50はいきたいとは思っていますが。

 赤星 キャンプ中のスポニチのインタビューを読んだけど、できたら20本塁打、まずは15本塁打って言ってたよね。それは全然いいのだけど、ホームランを打ったら盗塁は減ってしまうけど(笑い)。

 近本 ホームランもですが、二塁打も増やしたいんですよ。でも二塁打も増えたら、二盗の機会が減りますよね(笑い)。

 赤星 でも、近本は三盗が得意じゃん!

 近本 そうですね。なんか、三盗の方が楽ですね。

 赤星 あと、どうしても聞きたいのが、今年は選手会長じゃん。負担にならなければいいけど。

 近本 僕が思っていた仕事内容よりも多いんですよね。こんなことまでするのかってこともありますよね。

 赤星 やったことがある人間にしかわからない大変さだよね。グラウンド内のことはキャプテンがやって、選手会長はグラウンド外のことが多いよね。事務的なこととかね。近本は野球に関してはストイックでうまく切り替えたりしそうだけど、選手会長とか深く考えちゃうんじゃないかって心配だ。

 近本 何をしようかな、こうかなこうかな、違うかなとか、たくさん考えちゃいますね。

 赤星 今の話の時が一番笑ってないもん。

 近本 選手会長は本当に難しいです(笑い)。

 赤星 自分も最後引退する年まで4年やったのでなんでも聞いてきて。

 近本 はい。なんでも相談します。

 赤星 今年はチームにとって最大のチャンスじゃないの?それは近本も感じてるでしょう。

 近本 まだ2年しかやってないのでわかりませんが、チャンスは大きいのかなって思っています。

 赤星 そろそろ優勝の雰囲気を味わわせてよ。

 近本 前回の05年は僕が小学3年生のときですね。そろそろというか、タイガースは黄金期に突入しないといけないです。

 ※1 新人の19年は開幕戦で三塁打&初打点も8試合で打率・172と低迷。9試合目で初のスタメン落ちを経験。20年は開幕2試合9打席無安打。開幕から1カ月の7月下旬まで打率(規定打席以上)で最下位の常連だった。
 ※2 ヤクルト時代の2007年に3番で106試合、4番で38試合に出場。他の200安打達成者は1番が中心。四球23個は前出05年青木の37個を下回り、達成者で最少。
 ※3 主に1番中堅で13試合に出場。37打数12安打の打率・324、1本塁打3打点。

 《自身3度目開幕へ調整最終盤》近本は24日、甲子園室内で行われた全体練習に参加した。開幕を控えた心境については「まだ甲子園(での練習)なので、特にないです」と平常心を強調。25日は神宮で最終調整。「練習して『さあ一年間頑張ろう』と(大山)悠輔の言葉をもらったくらいから、(高ぶりが)くるんじゃないですかね」と自身3度目の開幕を見据えた。

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