三島南・斎藤 野球教えてくれたOBの祖父に夢舞台で恩返し

[ 2021年3月21日 05:30 ]

第93回選抜高校野球大会第2日第2試合 1回戦   三島南2ー6鳥取城北 ( 2021年3月20日    甲子園 )

<三島南・鳥取城北>7回2死、左翼線二塁打を放ち、ヘッドスライディングする斎藤(撮影・成瀬 徹)  
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 【お帰り!春球児】昭和から平成を飛び越え、令和へ。受け継がれてきた夢が、ついにかなった。ここが憧れの甲子園。一塁側アルプス席から送られる視線を三島南の背番号9、斎藤崇晃は痛いほど感じていた。

 「おじいちゃんには“野球を教えてくれてありがとう”と改めて伝えたいです」

 1番・右翼。守りに就くと、すぐ近くに応援席がある。そこに祖父・真澄さん(74)がいた。鮮やかな緑の芝生の上を浜風が渡っていく。銀傘にこだまする大きな拍手。ずっと夢に描いてきた場所で、グラウンドとアルプス席が一本の固い絆で結ばれていた。

 真澄さんは今年創部100年の三島南OBで元主将。当時は無名校で、甲子園は遠い夢だった。そんな祖父に、斎藤は幼少時からキャッチボールを教えてもらった。高校は迷わず三島南へ。「小さい頃から野球を教えてくれて、恩返しの思いもあった」。その恩返しは甲子園という大きな夢をかなえた。

 打席では3打席連続空振り三振の後、7回に左翼線二塁打。「見逃し三振より空振り三振」の信条で、自分のスイングを貫いた結果だった。祖父と孫の夢舞台。校歌は聴けなくても十分だ。「甲子園に連れてきてくれて感謝しかない。三島南に入ってくれたのも、ありがとうのひと言です」。そう言って、真澄さんはまぶしそうに孫を見つめていた。(秋村 誠人)

 ◆斎藤 崇晃(さいとう・たかあき)2003年(平15)5月18日生まれ、函南町出身の17歳。函南西小3年の時に函南少年野球クラブで野球を始める。函南中では伊豆市リトルシニアでプレー。好きなプロ野球選手は同じ外野手の藤原(ロッテ)。1メートル70、66キロ。右投げ右打ち。

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