牛島和彦氏 阪神ドラ1・佐藤輝に最大級の賛辞「全盛期の糸井」に似ている

[ 2021年3月18日 06:30 ]

オープン戦   阪神5-3西武 ( 2021年3月17日    メットライフD )

<西・神>2回無死、阪神・佐藤輝は右中間へ本塁打を放つ(撮影・平嶋 理子)
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 怪物ルーキーに死角はあるのか――。阪神のドラフト1位の佐藤輝明外野手(22=近大)が西武とのオープン戦で3試合連発の6号ソロ。破竹の進撃を続ける大砲をいかに抑えるかが、セ・リーグ5球団の当面の課題となりそう。本紙評論家の牛島和彦氏(59)は、現時点で「糸井の全盛期」と最大級の賛辞を贈り、その攻め方をシミュレートした。

 手がつけられない。凄い新人が出てきたな、と思う。前日のヤクルト戦では執ような内角攻めに対して、巧みに腕を畳んで内角球を右翼へ。この日は外角高めの150キロ直球。これまでは外角球を逆方向の左翼に運ぶアーチが目立ったが、一転して右中間最上段に叩き込んだ。腕が伸び、長距離打者が最も飛距離が出せる形だった。

 流しても引っ張ってもスタンドへ。さて、私ならどう抑えるか。佐藤輝の打撃を見ていると、体を目いっぱい使ってしっかりとバットを振ってくる一方で、頭が全く動かない。軸がぶれていない証拠だ。投手としては、この頭を動かして体を投手方向に引っ張り出したい。軸足である左足にしっかりと体重を乗せた自身のフォームを崩し何とか前に突っ込ませたいと考える。そのために必要なのは緩急、そして縦の変化だろう。

 最後は外角へのチェンジアップでタイミングを外すか、縦の変化であるフォークで空振りを奪うイメージ。低めの変化球でいかに揺さぶりをかけるか。この日も本塁打後の2つの二ゴロはいずれも低めの変化球だった。カウントの整え方は、膝元へのスライダーでファウルを打たせる。内角を意識させて踏み込めないようにして、外角で勝負する。この日のように高めは禁物。低め、低めを丁寧に攻めることが大切だ。

 タイプとしては、オリックス時代の14年に首位打者に輝いた全盛期の糸井(現阪神)に非常に似ている。私は現役時代に同じ左打者の阪神・バースとも対戦した。佐藤輝はまだ新人。スケール感こそ違うが両者の打撃を比べると、バースが体に似合わない柔らかでしなやかなヘッドの使い方をするのに対して、佐藤輝はどこまでもパワフルだ。公式戦で対戦チームがどう封じ込めようと知恵を絞るのか、注目したい。(本紙評論家)

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2021年3月18日のニュース