【畑野理之の理論】捕手固定か複数制か…最善策を探る阪神・矢野監督

[ 2021年3月11日 08:00 ]

オープン戦   阪神9ー3広島 ( 2021年3月10日    甲子園 )

<神・広>2回1死一塁、原口の交代を告げる矢野監督(撮影・北條 貴史)
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 この日は捕手陣に大きな動きがあった。甲子園での広島戦は原口がスタメンマスクをかぶったが、2回1死一塁の大盛の打席でファウルチップが右手を直撃し、そのまま交代。骨に異常はないものの、親指の爪がはがれているという。

 緊急出場した5年目の長坂が3回に左翼フェンス直撃の二塁打を放って先制のホームを踏むと、守備でも3回1死一塁から矢野の二盗を刺すなど攻守で猛アピールした。坂本はベンチ入りしていたが出場はなかった。

 梅野は鳴尾浜での教育リーグ・オリックス戦に出場した。先発した西勇をリードし、西勇が4回無失点で降板すると、梅野も5回の守備から退いた。エースの状態を確認する目的だったようだ。

 いま、矢野監督の捕手起用に、OBやファンたちが注目している。常識的には18年から3年連続でセ・リーグのゴールデングラブ賞を受賞中の梅野が中心となるのだろうが、どこまで坂本や原口と併用していくのか…。20年のスタメン出場数は

 ・梅野86(72%)
 ・坂本24(20%)
 ・原口10(8%)

 特に、開幕カードの巨人3連戦は1戦目から梅野、原口、坂本とすべて入れ替えて3連敗しており、結果が伴わなかったため批判も浴びて、非難もされた。

 野村克也さんの名言「優勝チームに名捕手あり」は有名だ。ちなみに阪神が優勝した03年は

 ・矢野119(85%)
 ・野口寿浩20(14%)
 ・浅井良 1(1%)
 05年は
 ・矢野132(90%)
 ・野口8(5%)
 ・浅井6(4%)

 しかし矢野監督の今の考えは複数捕手制もありだと思っている。「固定されていたのは俺たちの時代の話で、今の野球は変わってきている。逆の目(3連敗)が出たのは監督の俺の責任だけど、投手との相性とか、俺の中ではやる意味はもっている」

 実は、今春は意図的にさまざまなコンビを確かめてきた。2月の沖縄・宜野座キャンプ中からの対外試合では、西勇が坂本→梅野、青柳は栄枝→坂本→原口、秋山も原口→坂本→坂本の順でバッテリーを組み、捕球術、肩の強さ、配球など捕手能力だけでない「投手との相性」という項目を入れている。

 梅野は正捕手のプライドにかけて1試合でも多く出場したいだろう。原口や坂本はちょっと待てと言いたいに違いない。矢野監督も固定と複数制のどちらが正解なのかを明確にしたいのではなく、今年のタイガースの戦力ではどのような起用法が最善なのかをいま、探っているのだと思う。その結果として梅野の1強になるか、それとももっと平均化するのか…。(専門委員)

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2021年3月11日のニュース