楽天・マー君、魅せた“対応力” 決め球スプリット痛打→スライダーに切り替え奏功

[ 2021年3月7日 05:30 ]

オープン戦   楽天1―2中日 ( 2021年3月6日    バンテリンD )

<中・楽>観客の前で投げる田中将(撮影・篠原岳夫)
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 日米通算177勝右腕が、多彩な「引き出し」の一部を披露した。楽天・田中将大投手(32)が6日、中日戦でオープン戦に初登板し、4回から2番手で4イニングを3安打2失点。6回にスプリットを痛打されると、7回には決め球をスライダーに切り替えるクレバーさで計6三振を奪った。開幕2戦目となる27日の日本ハム戦(楽天生命パーク)に向け、順調に段階を踏んでいる。

 田中将のウイニングショットはスプリットだけじゃない。7回の連続三振は、それを象徴する場面だった。

 無死二塁、カウント1―2から根尾への4球目。内角低めに鋭く曲がるスライダーで、バットに空を切らせた。続く右打ちの武田にも2ストライクからの3球目にスライダーを選択。今度は外角に逃げる軌道で空振り三振に仕留めた。6三振中3個をスライダーで奪った。「(7回の)最後の2個は修正を加えて取りにいったところもあったので、そこは良かった」。狙い通り。納得の表情だった。

 最初の打者8人は完璧に抑えたが、6回2死から3連打を浴びて2失点。1点目、高橋周の中前適時打は低めのスプリットをすくわれた。すぐさま次のイニングに向けた修正点を模索。捕手の太田は「“追い込んでからのスプリットだけじゃなくて、頼りすぎずにいこう”という話をした」と明かした。そこでスライダーを決め球に選択。試合の中でも曲がり幅などを微調整しており、右腕は「力の入れ具合とかを変えてから打者の反応が良くなって、食いついてきてくれた」と話した。

 打者の反応を見ながら投球できるのが持ち味でもあり、「田中将=スプリット」という打者心理を逆手に取った配球が効果的であることも確認できた。「直球とスプリットだけだと打者も見極めやすい。スライダーの使い方やタイミングが大事になる」と太田。スライダーは元来得意としており、8年ぶりに復帰した日本球界でも威力を発揮しそうだ。

 日本のファンの前で投げるのは13年11月3日の日本シリーズ第7戦以来、2680日ぶり。しかも、メジャーでの自身の昨季の登板は全て無観客だった。マウンドに上がった際、帽子のつばに手をやって拍手に応え「どれだけ幸せなことなのか改めて感じた」と感慨深げに話した。「順調にステップを踏めている」と田中将。開幕までの登板は残り2試合で、「3・27」に向けて課題と収穫を積み重ねていく。(重光 晋太郎)

 ≪スライダー割合 年々増加傾向≫スプリットを武器にヤンキースで14年に衝撃デビューした田中将だが、球種別割合を見るとシーズンごとに姿を変えた様子が分かる。

 スライダーは軸球としても、2ストライク後の決め球としても、右肩上がりで年々増えた。16、17年はツーシームを主としたため直球(フォーシーム)の数字が落ちたが、近年は高めを突く形で増えている。

 相手打線や自分の状態、ボールの感触など、さまざまな条件に照らし最善の球を選ぶ。「その他」の球種はツーシーム、カーブ、カットボール。

 ≪ナゴヤD改めバンテリンDにも「TANAKA 18」≫敵地のスタンドにも「TANAKA 18」のユニホームを着て応援するファンの姿が見られた。

 愛知県一宮市の会社員・加藤弘巳さん(28)は、東日本大震災が発生した11年に購入したビジターユニホームを着用し「名古屋で投球を見られたのはラッキー。できればシーズンで15勝してほしい」と期待。

 同県知立市の会社員の男性(46)は「09年のユニホームを引っ張り出してきた。日本に戻ってくるのはまだ先だと思っていたのでうれしい」と話した。

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