【内田雅也の追球】盗塁の抑止力 快足新人を二盗阻止 阪神捕手陣、脅威の阻止率・875

[ 2021年3月1日 08:00 ]

練習試合   阪神4ー3ヤクルト ( 2021年2月28日    浦添球場 )

<ヤ・神>5回2死一塁、けん制球を投げる阪神・エドワーズ(撮影・北條 貴史)
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 阪神にとって沖縄最後の練習試合で5回裏は一つの見どころだった。セットアップマンと期待するジョン・エドワーズが初登板、1死から安打され、一塁の代走に新人・並木秀尊が出てきた。

 独協大初のプロ野球選手。俊足は相当で、一塁到達は最速3秒46だという。公式戦(首都リーグ2部)で盗塁失敗なし、24盗塁を記録している。代走役として開幕1軍も望める走者である。

 実際の点差(3点リード)やイニング(中盤)は無視され、両軍とも本番での終盤僅差を想定したことだろう。阪神1点リードの8回といったところだ。ヤクルト側は盗塁を、阪神はその阻止が焦点の場面である。ましてや3月26日の開幕で対戦する前哨戦だった。

 果たして、阪神バッテリーはこの快足走者の二盗を見事に封じた。

 1死一塁で山崎晃大朗は2球目を右飛。2死で迎えた宮本丈の1ボール後、並木は走り、二塁で刺した。エドワーズのクイック投球タイムは手もとの計測で1秒06と速かった。捕手・梅野隆太郎の送球も速く正確で、完全なアウトだった。

 エドワーズは宮本の初球の前に緩く、2球目の前には速く、2種類の一塁けん制を入れ、スタートを惑わせていた。エドワーズのけん制技術の高さは今キャンプ中の練習で何度か垣間見ていた。
 来日1年目の昨年は右肩の不調で長く戦列を離れていた。実力を問われる今年、1点勝負の終盤に十分に通用するきめ細かさを証明している。

 さらに書いておきたいのは投手を含めた阪神の盗塁阻止能力の高さである。沖縄での練習試合8試合の捕手盗塁阻止成績を出してみると、次の通りとなる。

   許盗塁 盗塁刺
梅野  0   2
原口  0   5
坂本  0   3
栄枝  2   4
 計  2   14

 許した盗塁は新人・栄枝裕貴の2個だけ。梅野はじめ、原口文仁、坂本誠志郎は1度も盗塁を許していない。一方、盗塁刺殺は実に14に上る。盗塁阻止率を出せば、脅威の8割7分5厘だ。

 もちろん、本番ではこうはいかない。春先の練習試合とあって、どのチームも失敗は覚悟の上で積極的に仕掛け、公式戦での可能性を探る。模擬試験の期間である。

 この模試の結果で本番に臨むわけだが、阪神は投手陣のクイック能力、捕手陣の送球能力の高さを十分に示している。公式戦で相手は仕掛けるのをためらう。足止めになろう。この走らせないという抑止力こそが最強の盗塁阻止につながるのである。=敬称略=(編集委員)

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