楽天・マー君 天国のノムさんへ「恥ずかしくない姿を」恩師の死から1年

[ 2021年2月12日 05:30 ]

キャッチボールする田中将(撮影・白鳥 佳樹)      
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 ヤクルト、阪神、楽天の監督を歴任した野村克也さん(享年84)が亡くなってから1年を迎えた11日、沖縄でキャンプを張る3球団は球場に半旗を掲げ、哀悼の意を示した。8年ぶりに楽天に復帰した田中将大投手(32)は野村さんの指導でエースに成長し、ヤンキースでも活躍。プロの世界で戦うための基礎を教えてくれた恩師をしのんだ。

 まだ現実が受け入れられていない自分がいる。「突然で、あまり実感がない。何だか信じられないですね」。訃報に接した時、田中将はヤンキースに所属していた。1年がたって、楽天の一員として命日を迎えた。元気なうちにクリムゾンレッドのユニホーム姿を見せたかった。「このタイミングで戻ってきて、何て言ってくれたんだろう」と恩師の顔を思い浮かべた。

 ノムさんは、田中将の原点だ。「プロで生きていくための基礎を全て教えていただいた監督。自分の中でも特別」。大投手になった今でも大切にしている教えがある。「原点能力、外角低めにいつも投げられるようにしておけ。投球は力じゃない。バランス、コントロールが大事」。力任せに腕を振って結果が残せるほど甘い世界ではない。繰り返し説いてくれたおかげで「一皮むけたじゃないけど、良くなった実感はあった」と振り返る。

 キャンプに合流した6日から別メニューで調整し、この日からチーム本隊に合流。積極的に若手に助言を送っており「聞かれたことに関しては答えたい。チーム力が上がるために僕にできることがあれば」という。野村監督の下でプレーした現役選手は数えるほどしかいない。だからこそ、学んだものを次の世代に伝えるという使命を体現している。

 「マー君、神の子、不思議な子」。あの名言も今となっては懐かしい。実際に投球を見てもらうことはできないが、天国から見守ってくれていると信じている。「とにかく恥ずかしくない姿、やれることをやって、最後までチームのために戦う姿を見てもらえたら」と誓った。まだ墓参りには行けていない。シーズンオフに墓前で良い報告をする。それが何よりの恩返しであり、供養になる。(重光 晋太郎)

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