楽天・マー君 ノーワインドップで伝説回帰 初ブルペン40球で全球種投げた!日本仕様問題なし

[ 2021年2月8日 05:30 ]

キャンプ初のブルペン投球をする田中将

 胸の前にドンとグラブを突き出す。裾の長い左足はスーッと巻き気味に後方へ引かれる。楽天に復帰した田中将が背番号18のユニホーム姿を初披露し、ノーワインドアップから40球を投げ込んだ。

 「狙いというか、もうアレでやっていきます。やっぱ“これかな”という感じですよ」

 ヤンキース最終年となった昨年は「気持ち良く投げるための形」を求め、楽天時代の09年以来11年ぶりに振りかぶるワインドアップからの投球に変更していた。最終登板のレイズとの地区シリーズだけ、ノーワインドアップで投げた。楽天でつかんだ2度の沢村賞も、13年の24勝0敗も日本一も、この美しく流れるようなノーワインドアップでつかんだもの。今の自分の体、状態、日本球界への適応などを考え、最も重視している「リリースポイントで最大限の力を出す」ため、栄光の姿への回帰を決断した。

 卓越したメカニックは、適応への不安をまた和らげた。米国より軟らかく削れるマウンド。キャンプ地のブルペンは特に軟らかく、田中将も最初はぶれた。それでも、下半身を柔軟に使うスタイルで大きく制球を乱すことなく投げ切った。「ここが一番軟らかく、他はもう少し硬いと聞いていた。ここでちゃんと投げられれば大丈夫かな」とうなずいた。

 米国とは質感の変わる日本のボールも全球種を投げ、巧みに操った。特にメジャー終盤に苦しんでいた宝刀スプリットが抜群に決まった。スライダーは指のかかりやすさから変化が大き過ぎて外れた場面もあったが、最後は左打者を立たせて外角にバックドアに決め「多少のずれはいろいろあるが、大きくはない」と手応えを得た。

 「今日は自分で思っている以上に投げられた。確実にプラス材料だと思う」。緊張や力みから、自らに「あかん!」「ウア~!」と叫び続けながらも、充実の初投球。今月中を予定する初実戦へ、懐かしのスタイルで順調に踏み出した。(後藤 茂樹)

 ▼石井監督 バンとぶつけるステップではないので。左足のクッションを使い、(マウンドが)硬くても軟らかくても、合わせられるメカニックを持っている。

 ▼小山投手コーチ もっと出来が遅いかなと考えていたけど、ここまでしっかり彼がやってきた成果。曲がり過ぎたスライダーを、狙いどころを修正して最後に決める、あそこが彼の凄味。

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2021年2月8日のニュース