ソフトB和田 静かなる闘志「年齢は考えない」 心の底から応援したくなる人間性

[ 2021年1月23日 08:30 ]

苦悶の表情を浮かべトレーニングする和田(撮影・岡田 丈靖)
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 今年1月からソフトバンク担当になった記者は14日に長崎県営野球場で公開された和田毅投手(39)の自主トレを取材。今年2月に40歳となるベテランは、どこまでも律儀な男だった。

 練習開始の朝8時50分。体幹トレーニングで使用するシートを地面に敷く前にスタンドにいる報道陣に声をかけた。「この辺が写真、撮りやすいですか?希望の位置があったら言ってくださいね」。新型コロナウイルス感染防止のため、グラウンドに入れないカメラマンを気遣っての行動だった。

 球場での練習を終えると、近くの神社で恒例の坂道ダッシュを実施。約150メートルの坂道を黙々と7本も駆け上がった。「なぜ、この坂を選んだのか?」と聞くと「長崎の風景が一望できる。新聞やテレビで坂道ダッシュのシーンが映った時、すぐに長崎でやっていることが分かる場所だから」と長崎県への感謝の思いから少しでもアピールになる場所を選んだという。練習後は差し入れの豚汁を報道陣に振る舞ってくれた。冷えた体を温めていると「おかわり大丈夫ですか?」とわざわざ記者が待機している場所まで足を運んでくれた。

 昨季限りで阪神・藤川らが引退し「松坂世代」で残る現役選手は松坂本人と2人だけ。今季はパ・リーグ初となる40歳での2ケタ勝利と規定投球回到達の同時達成を狙う。リーグで40歳以上の2桁勝利者は90年のロッテ・村田兆治(10勝)だけ。規定投球回は89年・村田兆治、94年・オリックスの佐藤義則がいるが同時達成者は過去に例がない。「年齢のことは考えない。自分に甘えることなく、目指していきたい数字」と静かに闘志を燃やす。

 衰えを感じさせず、プロ19年目のシーズンで史上初の快挙に挑む和田。分け隔てなく周囲を気遣う人間性にも触れ、心の底から応援したくなった。(記者コラム・福井亮太)

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2021年1月23日のニュース