四国勢43年ぶり8強 四国銀行、名門パナソニック撃破 4番・南が意地の先制打「見せつけたかった」

[ 2020年11月30日 05:30 ]

第91回都市対抗野球大会2回戦   四国銀行2-1パナソニック ( 2020年11月29日    東京D )

<四国銀行・パナソニック>パナソニックを破り8強入りを決めた四国銀行ナインは喜びを爆発させる(撮影・村上 大輔)
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 第91回都市対抗野球大会2回戦3試合が行われた。1回戦で13年ぶりの勝利を挙げた四国銀行(高知市)は4回に4番の南武志捕手(24)が右中間に先制二塁打を放つなど格上のパナソニック(門真市)を2―1で撃破し、初のベスト8進出。日本新薬(京都市)は三菱重工広島(広島市)を下して4年ぶり、Honda熊本(大津町)はJR東日本(東京都)に競り勝って17年ぶりの8強進出を決めた。

 スーツをユニホームに着替えたバンカーたちが全国の舞台で大仕事をやってのけた。54度の大会出場を誇る名門を倒し、四国勢でも77年の丸善石油(松山市)以来43年ぶり8強。体重110キロのパワーで4回に先制の右中間二塁打を放った4番の南は言葉にプライドをにじませた。

 「強豪は練習時間も長く、実績のある選手ばかり。うちみたいに人数が少なく、練習時間も短い企業でも勝てるというところを見せつけたかったです」

 強豪チームの選手は会社の配慮で一日の大半を練習に割くことができる。しかし、四国銀行は全員が本社業務でも貴重な戦力で必然的に練習時間は短くなる。週2日は午前8時30分から午後5時30分まで勤務で練習できず、週3日は午前6時半から10時まで練習して正午から出勤する。丸一日を練習に費やせるのは土日のみだ。

 開幕前まで大会通算1勝18敗。そんなチームが26日のハナマウイを下しての初戦突破に続き、強豪から金星も挙げた。「やまびこ打線」で知られる池田(徳島)出身の中川毅監督が全国で勝つために掲げた目標は「打力向上」。真夏に手に血がにじむほどひたすら素振りを繰り返す日もあった。限られた時間を有効活用するため、OBも練習をサポート。普段は渉外担当で法人や個人事業主に融資の提案を行う南は「短い練習時間の中でどうすれば技術が向上するか考えるのは自分に合っていた」と胸を張る。

 89年1回戦で5―6で“やられた”相手(当時松下電器)に32年越しで“やり返した”。合言葉は「伝説を作ろう」。強敵に立ち向かう銀行員が主役で社会現象となったドラマ「半沢直樹」よりもしびれるストーリーを描く。(松井 いつき)

 ◆南 武志(みなみ・たけし)1996年(平8)6月22日生まれ、高知県出身の24歳。安田中を経て土佐高に進学。2年春に21世紀枠でセンバツに出場し、小島(現ロッテ)擁する浦和学院に0―4で敗れた。同大を経て入社2年目。趣味は「おいしいものを食べること」。1メートル82、110キロ。右投げ右打ち。

 ▼パナソニック・田中篤史監督(好機をミスで逃し惜敗)野球の怖さが出た。まずい走塁が出て、そのまま引きずって失点してしまった。

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