奇跡あるか!阪神・大山 不屈の28号 岡本と3本差後退も「悔い残らないよう最後までやりたい」

[ 2020年11月8日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神2-0広島 ( 2020年11月7日    マツダスタジアム )

<広・神24> 6回無死、28号ソロを放ちナインとタッチをかわす大山(撮影・大森 寛明)
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 2位じゃダメなんです! 阪神・大山悠輔内野手(25)が7日の広島戦で左翼場外に消える28号本塁打を放った。一時は本塁打王争いでリーグトップを走る巨人・岡本に1本差に迫ったが、ナイターで岡本が2本塁打し、逆にリードを広げられた。この日の勝利で3年ぶりの2位が確定も宿敵の後塵(こうじん)を拝しただけに、個人タイトルで、せめてもの意地を見せてほしい。

 マツダスタジアムがどよめいた。1―0の6回無死、岩を切るかのように中村祐のカットボールを一閃(いっせん)した大山の打球は左翼後方の防球ネットを越え場外へと消えた。

 「狙い球を一発で仕留められたのは大きかった。最近は打ち損じが多かった。そういう意味では、自分の中でも大きいと思う」

 勝利を引き寄せる28号。この時点でリーグトップの巨人・岡本に1本差。逆転での本塁打王に希望をともしたはずが、その後のナイターで岡本が2本塁打。差は3本に開いた。

 残り試合は岡本より1試合少ない2試合だが、可能性が完全に消えたわけではない。4日のヤクルト戦で久々の27号を放ち、この日は2試合ぶりの一発。今季は8月8日から3試合連続本塁打を記録したことがあり、4試合で4本塁打が一度、4試合で3本塁打が2度と短期間で量産できる力を証明している。

 10月13日中日戦で26号を放ってから27号が出るまで19試合の空白期間がタイトル争いの劣勢につながっているが、その間も至って冷静だった。イニング間にはスコアラーのもとに足を運び、相手投手の傾向をチェック。納得がいく当たりは少なくても、シーズン始めから継続してきた“狙い球を定める”ことに重きを置き、結果が出るのを待った。3戦2発でトンネルを抜け出し、いい頃の感覚が大詰めに来て戻りつつあるのは心強い。

 チームはこの日の勝利で2位が確定。それでも巨人の後塵(こうじん)を拝しただけに、個人タイトルだけは宿敵から奪いたいところだ。矢野監督も「チャンスがあるときに思いっきり狙っていってもらえばいい。甲子園(を本拠地にする打者)でホームランキングというのは、すごい価値があると思うんでね」と86年バース以来となる球団の本塁打王へ背中を押した。

 本塁打王になるには30本塁打以上が必要。打率も・293で残り2試合でアーチを量産すれば3割に届く可能性もゼロではない。球団の生え抜き右打者で30本塁打&打率3割を同時達成すれば85年岡田彰布以来、35年ぶりの快挙にもつながる。

 「悔いが残ることがないよう油断せず最後までやりたい」

 残り2試合に全集中――。猛虎の4番が宿敵の4番を超える「奇跡」を見てみたい。 (長谷川 凡記)

 《10日は“直接対決”》大山(神)が6回に2試合ぶりの28号ソロ。本塁打王のタイトルを争う岡本(巨)がナイターで30、31号を放ち、差は3本に広がった。直接対決となる10日の巨人戦は勝負を避けられる可能性もあるが、11日のDeNA戦はカード別最高の打率・413で、甲子園に限れば打率・462、2本塁打と好成績を残す。巨人の今季最終戦は阪神が全日程を終わった後の14日だけに、望みをつなぎたい。

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