ヤクルト歳内 NPB1829日ぶり勝った!「勝負どころで一番信頼できる」宝刀スプリットで7回無失点

[ 2020年10月2日 05:30 ]

セ・リーグ   ヤクルト2-0DeNA ( 2020年10月1日    横浜スタジアム )

<D・ヤ>7回無失点で1829日ぶりの勝利を挙げた歳内(撮影・白鳥 佳樹)
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 ヤクルトの歳内宏明投手(27)が1日、DeNA戦で7回5安打無失点と好投し、3度目の先発で移籍後初勝利。NPBでは阪神時代の15年9月29日以来1829日ぶりの白星となった。昨年阪神を戦力外となり、独立リーグの四国アイランドリーグplus・香川を経て9月にNPBに復帰。苦労人が2カード連続の勝ち越し、最下位脱出に導いた。

 5年ぶりの白星。たぐり寄せたのは、月日を経てもさびることのない「宝刀」だった。

 「(スプリットが)なければプロにも入れてなかった。一番得意なボール。勝負どころ、大事な場面では一番信頼できるボール」

 聖光学院1年時。フォークを操ることができずマウンドで苦悩していると、斎藤智也監督が近寄った。「少し浅く握ってみろ」。落差は減るが、制球力が向上した。フォークからスプリットへ。決め球が誕生した瞬間だ。

 エースとして甲子園に2度出場。阪神にドラフト2位で入団した。それもこれも、このスプリットがあったからこそ。移籍後3度目の先発ではこれまで以上に前面に出していった。投じた全83球中、スプリットの割合は約半分の41球を占めた。

 5回1死一塁では代打・蝦名を三ゴロ併殺、7回2死一、二塁では代打・山下を二ゴロに仕留めた。それぞれ5球、7球は全てスプリットで押した。「(歳内を)強気に攻めさせた西田を褒めてやっていい」と高津監督。歳内の高い制球力があるからこそ、西田も何度もサインを出せた。

 時間が経過しても変わらなかったものがあった一方で、変化したこともある。独立リーグ・香川には専用球場がなかった。「(球場を)借りられれば練習ができるという状況」。借りられない場合は休日になる。「今まで恵まれていた。(香川の選手は)こういう環境でもドラフトにかかりたいという気持ちでやっていると凄く感じた」。聖光学院、阪神と光の下でプレーしてきた右腕も、一般人に交じって河川敷や公園で練習に励んだ。がむしゃらさを思い起こし、精神面も成長した。

 「ホッとしました」。投手にとって1勝目がもたらす安堵(あんど)感は、いつの時代も変わらない。2度、足踏みしたが、勝負球とともにNPBの舞台に戻ってきた。(川手 達矢)

 ◆歳内 宏明(さいうち・ひろあき)1993年(平5)7月19日生まれ、兵庫県出身の27歳。聖光学院では2、3年夏の甲子園に出場。11年ドラフト2位で阪神入団。3年目の14年7月30日ヤクルト戦で初勝利。19年オフに戦力外通告を受け、通算成績は57試合で2勝4敗、防御率4・15だった。今季は四国・香川に所属し、9月6日にヤクルトと年俸600万円で契約。1メートル84、90キロ。右投げ右打ち。

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