“二刀流挑戦”支えたエプラーGM、解任発表前に大谷にエール 同僚は来季活躍を予言「必ず爆発する」

[ 2020年9月29日 06:31 ]

水原一平通訳 I REPORT

今春キャンプでシモンズ(右手前)らとともにカートでよくグラウンド間を移動していた大谷(右奥、水原通訳提供)
Photo By 提供写真

 翔平のメジャー3年目のシーズンが終了しました。ここまで新型コロナ対策は厳戒でしたが、最後なので選手やスタッフ全員とハグしてお別れ。翔平とは「60試合制だったけど162試合と同じくらい長く感じたね」と話していました。

 試合直後にビリー・エプラーGMがチームを離れることが発表されましたが、事前に報告のメールが届いていました。これまでの感謝や今後のエールがたくさん詰まった内容で、報道で伝わる前に自分で伝えたかったんだと思います。エプラーGMは最初から最後まで二刀流を応援してくれました。感謝しかありません。

 振り返れば今季後半、翔平は結果がなかなか出ない日が続き、9月は故障以外では初の6試合連続欠場も経験しました。ただ、ジョー・マドン監督からは「長めの休養でリフレッシュしてほしい」と事前に言われていたので、落ち込むことなく、ひたすら練習に集中していました。

 スタメン復帰後は2本塁打を記録しましたが、翔平はまだまだと思っていたはずです。今季は投打ともに思うようなシーズンになりませんでしたが、トラウト、シンバ(シモンズの愛称)、フレッチャーらは「来年あいつは必ず爆発する」とか「今季の反動が楽しみだな」とかいつも言ってくれていました。

 本拠地での欠場中は出入りが多いベンチ裏ではなく、中堅後方のケージで打ち込むことが多かったです。その時に僕が選曲係として日本の音楽を爆音で流します。選手やスタッフに好評だったのがKing Gnu(キングヌー)の曲で、「白日」や「飛行艇」も人気でしたが、特にみんなのお気に入りが「Vinyl(ビニール)」という曲。レンドンはつづりも聞いてきて「翔平、登場曲はKing Gnuの曲にしてよ」って本気で言っていました。来季そうなる可能性は、なきにしもあらずです。

 シーズン終盤には驚きの出来事もありました。9月22日。入団時から翔平とめちゃくちゃ仲が良いシンバが残り5試合の欠場を表明しました。本拠地最終戦だった21日のレンジャーズ戦の試合中、ベンチ裏の打撃ケージでシンバが翔平に「これからも友達でいてくれよな。俺のこと見捨てないでくれよ」と冗談めかすように声を掛けていました。今、思うとあれが別れのメッセージでした。シンバは今オフにFAになり、エンゼルスを退団する可能性がありますが、違うチームに行っても交流は続くと思います。

 今季は3年目で初めて終盤までポストシーズン進出を争いました。これまでこういう緊張感がある試合はなかったと思うので、翔平にとって凄く良い経験になったと思います。来季は今季の鬱憤(うっぷん)を晴らしてほしいです。(エンゼルス通訳)

続きを表示

この記事のフォト

2020年9月29日のニュース