巨人・畠 緊急先発で6回零封、今季1勝!杉内コーチ直伝“両腕ダラリ投法”で直球の切れアップ

[ 2020年9月21日 05:30 ]

セ・リーグ   巨人5―0DeNA ( 2020年9月20日    横浜 )

脱力投法で今季初勝利を挙げた巨人・畠(撮影・森沢裕)
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 世周(せいしゅう)。巨人・畠の名前だ。「世の中は巡るが、その中心にいるような存在になれ」との両親の願いが込められている。連敗を3で止めた救世主は、まさにチームの中心にいた。

 「ずっと勝てなくて悔しい思いをしてきた。1勝できてホッとしています」。前日、ジャイアンツ球場で2軍の試合を見守っていると突然、1軍先発を告げられた。予告先発のメルセデスが左肘違和感で登板を回避。緊急事態にも「やってやるぞという気持ちしかなかった」と燃え、6回を2安打無失点だ。5度目の先発で2年ぶりの白星を挙げ、先発では17年9月17日以来1099日ぶりだった。

 投球で心掛けたのは「脱力」。投球時に左足を上げた際、両腕をダラリと下げてから投げる。開幕前に杉内2軍投手コーチから「一回(力を)ゼロにしてからスタートしたほうがいい」との助言を受けた。杉内コーチの現役時代のフォームでもある。テークバックで力みをなくし、リリースで一気に100%の力を込めることで直球の切れが増した。

 最速151キロの直球を全78球中、半分以上の42球投じた。2回無死一塁では宮崎に内角直球を2球続け、バットをへし折り遊飛に仕留めた。内角攻めには理由がある。今季初登板した7月31日広島戦。無失点を続け、勝利投手の権利目前の5回1死で危険球退場した。そこから3戦続けて黒星が続くと原監督から「プロ野球選手として生きてて(死球に)ビビっていたら恥ずかしいよ」とLINEが届いた。この言葉を胸に「失うものは何もないぐらいの気持ちでいった」と振り返った。

 昨季は右肘手術で未勝利に終わった。「ここまで戻ってこられるとは思ってなかった。いろんな人に感謝しかない」。何度も苦い経験を乗り越えてつかんだ待望の白星。感謝の思いとともに喜びをかみしめた。 (田中 健人)

 《巨人で初!代役先発で勝利投手》畠(巨)が今季初勝利。白星は18年10月9日の阪神戦以来、先発では17年9月17日のDeNA戦以来3年ぶりとなった。また、畠は予告先発だったメルセデスの登板回避による代役先発。巨人では14年6月4日ソフトバンク戦の内海(現西武)→阿南徹、17年7月18日中日戦の山口俊(現ブルージェイズ)→高木勇人、今年7月25日ヤクルト戦のサンチェス→沢村(現ロッテ)に次ぐ4度目だが、代役先発が勝利投手になったのは初めて。なお、予告先発の代役で勝利投手になったのは両リーグ合わせて以来13人目、14度目となった。

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