「投げる前に吐くときが…」沢村 分厚い肉体の下に繊細な心 周囲へ気配り欠かさぬ一面も

[ 2020年9月7日 15:33 ]

昨年9月27日のDeNA戦の2回無死、沢村(左)の頭を叩くふりをした後、握手をかわす阿部(撮影・島崎忠彦)
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 分厚い肉体から150キロ超えの直球を投げ込む。マウンドから打者を見る表情にはふてぶてしささえ感じる。豪快なイメージを持たれがちな沢村だが、実は繊細な男だ。

 10年に巨人からドラフト1位指名されて入団し、今季で10年目。4年目までは先発、5年目からは主にリリーバーとして活躍してきた。16年には37セーブでタイトルも獲得して経験豊富な右腕だが、「投げる前に吐くときがある。プレッシャーと感じているわけではないけれど、緊張を感じなくなったら終わり。練習試合でも緊張しない試合はない」と話す。中大の2学年下の後輩でもある鍵谷も「嗚咽がすごいですよね」と証言するほどだ。

 鍵谷は「大胆なイメージ、どっと構えているイメージがあると思うんですけれど、意外と気にしい。心配性。“これ、大丈夫だったかな”とか、周りの空気を気にする」と人柄を表現。周囲への気配りを欠かさない。昨季、ジャイアンツ球場で取材していた報道陣の弁当の代金を、気づかぬ間に支払ってくれていたこともあった。

 昨年9月27日の阿部2軍監督の引退試合となったDeNA戦で、“阿部捕手”がボールを受けたのはマシソンと沢村だった。12年の日本シリーズの“頭ポカリ”を再現して沸かせたが、わざわざ指名したのは、かわいい後輩だからだろう。指導者になった今季も、沢村をあえて3軍に落とすという厳しい処置をとったのも“はい上がってこい”のメッセージだったはず。新天地での活躍が恩返しになるはずだ。

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