阪神・球児 3度目の優勝あきらめてない!打倒・巨人の使命感 「粉骨砕身」の現役、最後まで闘う

[ 2020年9月2日 05:30 ]

<阪神・藤川球児引退会見> 引退会見で笑顔の藤川(撮影・大森 寛明)
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 今季限りで現役を引退する阪神の藤川球児投手(40)が1日、兵庫県西宮市内で引退会見を行った。1年間コンディションが整わないことは「プロとして失格」と自分を厳しく見つめての決断だったことを明かし、涙をこらえる場面も。ただ、早期復帰を目指し、入団時に誓った自身3度目の優勝を目指すことを誓った。火の玉は燃え尽きるまで戦う!

 約1時間に及んだ引退会見の序盤だった。22年間の現役生活について質問が飛ぶと、藤川は「いつでもつぶれてもいい覚悟でやってきた。粉骨砕身ていう」…。それまでは笑顔も見せていたが、うつむき、必死に涙をこらえた。のしかかっていた肩の荷を下ろしたわずかな瞬間だった。

 「体がおかしいと。お迎えが近いぞと思った。いよいよきたなと。1年間、体の準備が整わないのはプロとして失格」

 常に引退と隣り合わせだったという近年。右腕は悲鳴を上げていた。火の玉と評された直球の精度低下が引退要因となった可能性に「実はあった。制御できなくて」と決断を早める引き金となったことを明かした。

 「今年は有言実行できなかった。僕がいると僕以上は出てこないかもしれない。いなくなった方が出てくる気がします」

 引退を迷わなかったのは愛するチームのため。しがみつくのではなく後輩たちに道を譲ると決めた。ただ、闘志は消えていない。残りシーズンも戦う。再び1軍のマウンドを目指して挑戦する。

 「最後までやり抜かなければいけない。タイガースの誇りを周りに見せないといけない。全く悔いはない。だけど、選手たちに言いたいのは、辞めていく選手に負けるなと。俺に負けてるようじゃだめ。巨人に勝てない」

 1998年のドラフト1位で入団してから猛虎のDNAが息づいている。タテジマを着る使命といえる、打倒・巨人への思いは誰よりも強い。「つながなきゃいけない。これだけは譲れない。巨人には向かっていかなきゃいけないんです」。会見後は甲子園に向かい、1軍メンバーを激励した。13連戦中の4日からは巨人4連戦がある。

 「入団会見で3回優勝すると言って2回しか優勝してない。今年3回目のチャンスが来ている。僕は僕で、もう一発何とかと思ってます。気合を入れて頑張ります。監督を支えられるように。自分の力が必要になることもありえると」

 会見に先立ち、早朝から鳴尾浜でランニングやキャッチボールで汗を流した。「まだ相手を倒すボールを投げられる可能性がある」と言った。2日は2軍選手にもメッセージを送る予定。火の玉のような熱い猛虎魂を燃やし続ける「藤川球児」の最後の挑戦が始まる。(山本 浩之)

 ▽藤川の入団会見 98年12月21日に行われた阪神の新入団選手発表で、ドラフト1位の藤川は「10年後の自分」の質問に「優勝を3回ぐらい経験している。胴上げ投手も1回ぐらいはやっている」と自信たっぷり。他の質問にも当意即妙の受け答えに、野村監督が「藤川君は野球以外にも才能を持っていそう」とジャブも「最高の言葉をもらいました」と受け流す肝っ玉ぶりを見せた。

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