【藤川と一問一答(6)】譲れない生え抜き巨人戦への思い「向かっていかなきゃいけない。特に原監督だし」

[ 2020年9月1日 17:38 ]

引退会見で笑顔の藤川(撮影・大森 寛明)
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 8月31日に今季限りでの現役引退を球団が発表した藤川球児投手(40)が1日、兵庫県西宮市内で会見にのぞんだ。以下は一問一答((5)から続く)。

 ――最後の終わり方に向けてどんなトレーニングをしてるのか、どういう終わり方をしたいか
 言えないですね。戦ってるんですから。グラウンドは戦ってるんですから。個人的な私情は挟まない。オールスターは別ですよ。自分がどう感じるかはアドレナリンであったり出るんですよ。だからやっぱりお客さんの反応はほしいですよ。5000人であっても。無観客で始まってこんなに寂しいことないなと思いましたからね。これ俺、本当に野球選手なのかなと。やったことなかったから。家に居るようなもんですよ、分からないですから何も。僕の中ではプロってそんなもんじゃない、お客さんがいようがいまいが、100%の力を出すんだと思い込んでたんですけど、全然力が出なかった。言い訳として捉えられてももうなんでもいいんですけど、それくらい大きかった。そのときどう感じるか、出てみて、アドレナリンがどう出て、周りの反応があって。その時になってみないと分からないし。今の選手は5000人の熱い声援で頑張ってるわけやから、僕は尊敬に値しますよ。僕はそこのモチベーションはそこまでいけてない。いつ投げるかも言えない。それは、自分の身体と向き合わないといけないし、次、止まる可能性もある。その時点で終わりですよ、もう2カ月半しかないから。再発したらリハビリ間に合わない。プレッシャーはかけますけど。1日も早く、1分でも早く。それをいちから倒す選手が出てきて欲しい。

 ――出てきているなという感じはするか
 僕の代わりじゃないですよ。チームが勝てればいいんですよ。7回、8回、9回投げるピッチャー、これだけでいい。あとは球団がやってくれますから。その選手達の補強であったり、育成であったり…それはスタッフも頑張ってますよ。なので僕ができることは、良い競争をするとか、刺激を与えるとか。今ならば通ってきた道を見せるっていうことしかできないので。もし、タイガースで引退じゃなければ、こういう話もなかったと思いますから。タイガースでユニホームを脱ぐことになったから、生え抜きを育てる大変さとか含めて、全部を出さないといけないときにきてるのかなと。

 ――記録に対して、周りの期待があるなら達成したいという思いだった
 正直なところ、周りの気持ちは関係なく思わなかった。無理なんで、それを追うのは。僕は勝ち負けにしか興味がないから。僕だけで勝つことは、僕にとっての幸せだけど、僕で負けが続く可能性があるなら続かないピッチャーが投げた方が、僕は勝てるんでそれが好きなんです。それでいいんです。本当に思わなかった。だけど、歴代の名選手達、大事な大事な先輩達が創り上げてきた、やってきたものですから、それを目指さないとは言えないし、価値観が違う生き方があるっていうのはものすごく言いづらかったし。今も、こういう言い方でいいのかな。結局達成できてないですからね僕は、どう言われてもいい。アメリカに行きたかったし、チャレンジしたかったし、達成されてない、そことは一線を画して違う戦い方をした選手達で、OBの方、先輩で僕が大好きな方もたくさんいますから。そこにいっただけが憧れなわけじゃないし。選ぶのは自由じゃないですか、どういう人に憧れて。僕はそこに行った人たちよりも熱く生きてる人たちが好きねんで。僕は斎藤雅樹さんがいまだに大好きで、全然そういう感じじゃないし。僕は阪神に入って巨人に勝ちたいんですよ。なので自己記録を追い求めると、そんな甘くないんですよ。バッターは技術が向上して2000本、3000本ものすごい能力がありますけど、ピッチャーは200勝だったりとか、250セーブ達成するのを軽々と超えちゃう。僕はそんなことよりもという思いが強すぎて。粉骨砕身でつぶれても良いぐらいで1セーブあげるために9回ギリギリの所投げてきて抑えるとか。点差が離れてるとか、同点では投げないとか、それ意味あるんかなと。僕はお客さんに失礼、ファンの人に失礼。

 ――巨人戦は特別なステージだったか
 当たり前ですね。それは誰に何を言われても、絶対今日言わないといけないです。僕は阪神の先輩方から伝統を預かって、今年限りで選手としての任務を解かれるわけですけど、それも含めて繋がなきゃいけないんですよ。これはファンの思いなんですよ。西対東、東対西。スポーツの世界だけと違う。それは僕らにしか分からないかもしれないです。阪神に入ったときにそういう教育があったから18年。それは外せないです。FAで来られた選手は力もあるし、めいっぱいタイガースで暴れ回ってめいいっぱい貢献して欲しい。だけど、生え抜きの大変さは必ずあります。そこは、ものすごく重要。その尊重は絶対しないといけない。誰がなんと言ってもこれだけは譲れない。譲らないですよ僕は。向かっていかなきゃいけないんですよ、特に原監督だし。

 (最後に)ありがとうございました。思いのままを言いました。あと2カ月半、タイガースが勝てるようにいきましょう。

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2020年9月1日のニュース