金本知憲氏 “考える力”持っている阪神サンズ、内角攻め打てれば本物

[ 2020年9月1日 06:30 ]

阪神・サンズ
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 【金本知憲の虎への金言】阪神前監督で本紙評論家の金本知憲氏が、阪神について語るコラム「金本知憲の虎への金言」。セ・リーグトップの得点圏打率を誇るサンズに対し、各球団のエース級の内角球を狙って仕留めることを求めた。

 阪神は勝ったり、負けたりの一進一退の中で貯金1まで持ってきた。ある程度、得点を取れているのが好材料だ。やはり、サンズの存在が大きい。「サンズさまさま」と言っていい。チャンスで強く「サンズに回せ」となり、打線としてつながりが生まれる。

 対戦を重ね、相手の攻め方もはっきりしてきた。内角への速球が増え、サンズも意識させられている。ただ、全体的にセ・リーグの投手はサンズに対して内角に投げ切れておらず、失投を仕留めている印象が強い。30日広島戦での先制本塁打も内角狙いの直球が真ん中に来たところをしっかり捉えた。

 内角いっぱいに投げられた速球を打てれば本物だ。これは狙っていかないと打てない。一度打ってしまえば、相手は内角を簡単に攻められなくなる。サンズも狙っているように見える。何も考えずに来た球を打てるならいいが、打てないなら考えないといけない。それは日本人でも外国人でも同じ。例を挙げればラミレス(DeNA監督)も配球を読むことができる打者だった。サンズも考える力を持っている。

 1日からは13連戦が始まる。上にいるチームはある程度計算しながら戦うことができるが、追いかける側は日々の試合に勝っていかないといけないから非常に難しい。目先の勝利を追わなければいけないが、追いすぎると後につけが回る。特に今季の阪神の場合は9月下旬からもう一度、13連戦がある。そこで勝負するためにも、まず一つ目の山をどう越えていくか。

 監督時代に最も気を使ったのは、リリーフ陣の運用だ。「3連投まで」を原則とし、3年間で4連投させたのは一度しかなかった。もちろん、球数も考慮して2日で50球を越えた場合などは3連投もさせなかった。いまのチームもブルペン陣が強みの一つだ。開幕当初は先発だった岩貞やガンケルを救援に回し、未知数だった馬場らにも重要な場面を任せるなど整備してきた。矢野監督の「準備」が生きるのでは。

 首位の巨人とは6・5ゲーム差。直接対決で叩くことが理想だということは、みんな分かっている。開幕から2勝8敗の苦戦。どう盛り返すか。たとえば、無敗の菅野をサンズが打って止める。そんな試合ができれば、きっかけになるかもしれない。例年なら9月に入れば、ラストスパートを考える季節。今年に限っては違う。9月だけど、まだ半分も残っている。

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2020年9月1日のニュース