野村謙二郎氏 広島借金6から巻き返しへ「1点」の意識が大事「どう奪い、いかにして防ぐか」

[ 2020年9月1日 05:30 ]

野村(中央)、遠藤(右)と談笑する森下(撮影・坂田 高浩)
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 広島は、1日の中日戦(ナゴヤドーム)を起点に13連戦で後半戦のスタートを切る。24勝30敗6分、5位で終えた前半戦。借金6から反転攻勢に出るには何が必要なのか。元広島監督でスポニチ本紙評論家の野村謙二郎氏(53)は、次の1点を奪い、防ぐことをより強く意識した上で、声出しや伝達の重要性を改めて説いた。

 ペナントレースは折り返し。6個の借金を抱えた前半戦は、投打の歯車がバランスよくかみ合わなかった印象が強い。打線が点を取っても、救援陣がうまく機能しない。その最大要因は抑え投手だ。なかなか決まらず、全ての計算を狂わせた。

 外国人選手はスタートから不安が露呈し、勝ち試合に投げる怖さを知る経験者は不振。期待された若手の伸び悩みもあった。ただ、フランスアが定着して以降は5割の勝率で推移する。後半戦は、次の1点に意識をより傾注してほしいと思う。

 1点をどう奪い、いかにして防ぐか――。

 投手なら、味方の失策や四球で出塁を許した後が大事だ。絶対に走者を還さないという意識。併殺に仕留めた後の四球も避けたい。そこに暴投、捕逸が絡んでタイムリーを浴びると、敗戦につながりかねない。2死からの被弾もしかり…だ。

 野手は野手で、2点目を取ったら3点目、4点目を取る。投手が四球を出したらしっかり守る。あるいは、エラーをしたら打って取り返す。上本が失策後に劇的なサヨナラ打を放った8月28日の阪神戦など好例だろう。

 その試合。新井貴浩氏(本紙評論家)がベンチに居たら“投手は頑張っているゾ。追加点を取ってやろうや”と鼓舞したのではないか。強い時代には誰かが声を上げた。今は皆が自分のことで精いっぱいで、声を出す選手が少ないように見受ける。

 8月1日の巨人戦では、1―1の3回無死一、二塁で丸のバントに松山、菊池涼の一歩目が遅れ、決勝点を献上した場面があった。原監督の采配や、丸の状態を考えればあり得た作戦だが、チームとしての準備、確認作業ができていなかった。

 “無いと思うけど、1球けん制を入れておこう”とか、ベンチでも、内野手でも捕手でもいい、声を出し、確認し合いたい。優勝経験者がいる。何かしら気付いているはずだ。間違っていたら申し訳ないが、前半戦は伝達や声出しがうまくできていないと映った。

 プレーに対しての確認、次に起こることへの確認、指示。やるべきことを徹底することだ。チームとしての約束事やルール、カープの野球スタイルを、この折り返しでしっかり再確認し、気持ちを奮い立たせて後半戦に臨んでほしいと願う。(本紙評論家)

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