楽天生命パークで「非日常体験」――12球団初、球場内にホテル!石井GM「優越感と余韻を味わって」

[ 2020年9月1日 07:00 ]

楽天生命パークの宿泊施設の「Rakten Stay」屋上でバーベキューを楽しむ石井一久GM(撮影・長久保 豊)
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 コロナ禍により入場制限が続くプロ野球だが、新たな楽しみ方を提供する施設が続々と登場している。楽天は、6月29日に左中間席後方に宿泊施設「Rakuten STAY×EAGLES」をオープン。球場施設内のホテルは12球団初めてで、部屋から球場の雰囲気を楽しむことができる。キーワードは「非日常体験」。メジャーの球場事情にも精通している石井一久GM(46)が同施設を紹介してくれた。

 楽天生命パークの左中間奥にあるスマイルグリコパーク。16年に完成した日本の球場初の観覧車はすでにランドマークとして定着しているが、「Rakuten STAY×EAGLES」はその一角にある。6月29日に開業。プロ野球初となる球場施設内のホテルは、「ボールパーク化」を目指す楽天の新たな売りとなる。

 キーワードは「非日常体験」だ。昨年6月ごろにプロジェクトがスタート。同施設を担当する楽天野球団の事業本部ボールパーク推進部・亀谷直幸部長は「非日常を味わえる施設が球場の施設内にあったら面白いね、というところから始まった」と説明する。オンリーワンのサービスで人を驚かせる。観覧車と同様に、従来の発想にとらわれないアイデアを基に計画は進められていった。

 メジャーでもプレーした石井GMは試合観戦だけではない楽しみ方の「新様式」を提案する。「ナイターを見て、試合が終わっても帰らなくていい。その優越感と余韻を味わってほしい。部屋から見る誰もいない球場の景色は、なかなか幻想的ですよ」。屋上テラスではバーベキューも楽しめる。「メジャーでは駐車場でバーベキューを楽しんで、野球を見ないで帰る人もいる。野球を楽しんでもらうのはもちろんだけど、ピクニック感覚で野球を見なくても楽しめる施設です。秋になれば、デーゲームも多くなるので、季節的にもいいよね」と話す。

 テラスやバルコニーから見える球場の景色は、スタジアム内とはまた違った趣がある。実際に宿泊した利用客からは「誰もいない球場を独り占めするような雰囲気を味わえた」という感想が届いているという。一方で試合がない月曜日の利用客はまだ少ないそうで、シーズンオフに新たな付加価値を創出できるかが今後の課題となりそうだ。

 日本の球場も「ボールパーク化」の動きはますます加速していく。「日本ハムが建設している新球場もきっと素晴らしい施設になると思う。昔の野球場のようにどこも同じような施設ではなく、より魅力的な空間にしていかなければいけない」と石井GM。ハードとソフトの両面で、オリジナリティーに富んだ進化が求められている。野球場が試合を観戦するだけの施設ではなくなる日も近い。(重光 晋太郎)

 《全4室 料金25000円から》「Rakuten STAY×EAGLES」は全4室で、1部屋で最大8人が宿泊可能だ。料金は変動制で1室2万5000円から。予約サイト「楽天トラベル」から予約できる。室内は13年の日本一の写真などが装飾され、選手のユニホームやサイン入りグッズなども飾られている。担当者は「県内のファンの利用が半数以上。お子さんのいる家族連れが多い」と説明する。
 コロナ禍の影響で開業が2カ月以上遅れ「まずは施設の存在を知ってもらうことが大事ですが、今の状況では大々的にPRもできない。そこは悩ましい」と亀谷部長。ここまでの稼働率は平均で50%ほどで、曜日別では試合のない月曜日の利用率は低いという。

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