殿堂入り田淵氏 阪神にエール3連発 大山には「もっと、目立ちたがれ」

[ 2020年8月19日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神0-1巨人 ( 2020年8月18日    東京ドーム )

<巨・神(8)>9回2死一塁、大山は二飛に倒れガックリ(投手・菅野)(撮影・椎名 航)
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 今年1月に競技者表彰のエキスパート表彰で野球殿堂入りした元阪神、西武の田淵幸一氏(73=本紙評論家)の表彰式が18日、都内のホテルで行われた。現役時代に「4番・捕手」を務めた同氏は矢野阪神に「エール3連発」。後継者である大山、梅野、矢野監督に助言と激励の言葉を贈った。チームは今季6度目の零敗で勝率5割復帰はならずも、猛虎のレジェンドは逆襲を信じている!

 プレーボール直前、東京ドーム隣接の東京ドームホテルから矢野阪神に心強い激励を届けた。現役通算474本塁打を誇る田淵氏が放ったアーチならぬ「エール3連発」。宛先は後継者3人だ。

 「大山も4年目だし去年と今年の打撃内容を見たら、雲泥の差。頭が前に行かないで後ろに打つぐらい、背筋力を使う打撃を覚えたんじゃない? 4番としての自覚が芽生えてきたという打撃だね」

 まずは「4番」の大山だ。この日は残念ながら4打数無安打。一振りで試合を決めた相手4番・岡本とは対照的な結果となったが、昨季からの成長は認めるところ。だから言葉を継いだ。

 「精神的な強さ。自己顕示欲。目立ちたがり。江夏が完封したらアイツが1面に載る。俺が1面になるんだったら、サヨナラヒットかホームランしかないわけだから。味方でもライバル意識を燃やしていた。インコースに来たら三振してもいいから振って、思いきりレフトスタンドにファウルを打つような思いきりのよさを彼には求めたい」。伝えたかったのは和製大砲に求められる条件と役割。自らの経験も踏まえ、さらなる進化を願った。

 次いで「捕手」としては梅野に賛辞を贈った。「今12球団ナンバーワン捕手じゃない?」。この日も先発・高橋の好投を引き出した扇の要の実力を球界一と評価。その上で「出ていないときから“お前が正捕手をしないとダメだよ”と言っていた。22番を付けろと。“藤川がいなくなったら、すぐもらえ”と言っている」と自身が阪神選手時代に付けた「22」の後継者にも指名した。

 そして最後は阪神打撃コーチ時代に付けた「88」を受け継いだ矢野監督への激励で締めた。星野政権下では、ともに戦った間柄。チームはこの日も敗れて今季2勝4敗と宿敵巨人に分が悪いが、「星野に感謝していると思う。中日時代から阪神でも一緒にやって。前から“お前(矢野)は監督をやるよ”と言っていた。選手がもう一つ豊富な人材であれば何とか上にいける」と星野阪神を受け継ぐ躍進を期待した。

 「一致団結して協力して優勝することを、私が生きている間によろしくお願いします」

 もちろん「生きている間に」は、ご愛敬。残り71試合で6・5差は十分に逆転可能だ。願うは今季の優勝。レジェンドは、猛虎の逆襲を信じている。

 《藤原オーナーも田淵氏エールに呼応》阪神は殿堂入り表彰の前に球団独自表彰を実施し、藤原オーナーが記念盾、矢野監督が花束を贈呈した。球団総帥は田淵氏の熱いエールに「阪神タイガースの伝統を新しい格好で先輩に見せる気概を持って練習に試合に励んでもらいたい」と呼応。サプライズ出演で祝福した指揮官は「初めて本塁打を見たのは田淵さん」と逸話を披露した上で、「俺らの恩返しって、そういう(優勝する)ことしかできない。殿堂入りされた年に優勝したっていうのは、田淵さんの中でも思いが残ると思う」と改めて頂点を見据えた。

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