聖隷クリストファー、異例ダブルヘッダー制し初V!上村監督「いつの日か甲子園に」

[ 2020年8月3日 05:32 ]

静岡代替大会・決勝   聖隷クリストファー6―5浜松開誠館 ( 2020年8月2日    県営草薙 )

<聖隷クリストファー・浜松開誠館>優勝の瞬間、マウンド上で歓喜の聖隷クリストファーナイン
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 聖隷クリストファーが浜松開誠館との決勝を6―5で制し、初優勝を飾った。異例の準決勝、決勝ダブルヘッダーはエース右腕・城西裕太(3年)を含む4投手の活躍で、コロナ禍で甲子園出場にはつながらないものの、初めて県の頂点に立った。静岡商のプロ注目最速148キロ左腕・高田琢登(同)は準決勝で聖隷クリストファーの前に涙をのんだ。

 高々と舞い上がった白球が鈴木玲音左翼手(3年)のグラブに収まった瞬間、マウンド上のエース城西は右手人さし指を空に向け突き上げ、喜びを爆発させた。「率直に野球人生で一番うれしい瞬間。うれしすぎて実感がありません」。女房役の大橋琉也捕手(同)ら、3年間支え合ってきたナインと歓喜の輪をつくった。

 降雨の影響で2日で3試合をこなす異例の過密日程。前日(1日)の準々決勝を完投した城西はこの日、浜松開誠館との決勝は2番手で3回から登板となった。「他の3投手が本当に頑張ってつないでくれた。ここ一番で抑えられるようになったのは成長です」と5回を7安打4失点。準決勝はプロ注目の最速148キロ左腕・高田を擁する静岡商を相手に城西を除く谷口悠真(3年)ら3投手による継投策で乗り切り、エース右腕を温存したことが大きかった。城西は決勝を含め、登板した4戦中3試合で無四死球。校長も務める上村敏正監督(63)は「一番は制球力。最後の安定感はやっぱり大黒柱だなと感じた」と賛辞を送った。

 悔しさを力に変えた。昨秋の県大会は準決勝で藤枝明誠に逆転負け。明誠打線に打ち込まれた城西は「本当に悔しかった。どんないい打者でも体から一番遠い球は打ちづらいはず」と外角低めの制球力に磨きをかけ、2回戦でリベンジを果たした。昨秋3位決定戦でセンバツへの道を断たれた静岡商も準決勝で撃破。5―5の同点から勝ち越しの左前2点適時打を放ったリードオフマンの上島寛大中堅手(3年)は「あの悔しさを糧に冬を乗り越え夏までやってきた」とプロ注目の高田をノックアウトしたことを喜び、初の県頂点へ流れを呼び込んだ。

 今大会はコロナ禍で第102回全国高校野球選手権大会が中止。甲子園出場はできない。浜松商、掛川西を春夏通算8回甲子園に導いた上村監督は「選手たちが本当によく踏ん張った。機会があればいつの日か甲子園に連れていってやりたい」と親心をのぞかせた。新チームは来春センバツを目指し、きょう3日から始動。城西は「初の甲子園を目指して頑張ってほしい」と自分たちが果たせなかった夢を後輩たちに託した。(畑 大地)

 ≪中島、殊勲3打点≫攻撃の殊勲者は9番・中島虎太朗右翼手(3年)だ。2回2死二、三塁で右前に逆転の2点適時打。6回には、今大会防御率0・00だった相手の最速146キロエース右腕・長屋に初の自責点を付ける右中間突破の適時三塁打を放ち、ガッツポーズを繰り返した。「本当にうれしいのひと言。初めて自分を褒めてあげたいです」と笑顔。昨秋は3番だが、春先から不振で「本当は上位を打ちたい。情けないし悔しい」と本音も「最後に最高の結果になって良かったです」と努力が報われた。

 ▽聖隷クリストファー高等学校 1966年(昭41)聖隷学園高等学校として創立。2001年(平13)から現校名に。男子バレーボール部や少林寺拳法部など部活動が盛ん。生徒数は853人(女子483人)。野球部は1985年(昭60)創部。秋は2016年(平28)に優勝。春は2002年(平14)県8強が最高。OBに鈴木翔太(中日)ら。

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