日本ハム・万波 左翼バルコニー席へ140メートル弾 栗山監督「去年とは全然違う」

[ 2020年6月13日 05:30 ]

練習試合   日本ハム6―2巨人 ( 2020年6月12日    東京D )

7回2死、左翼へ特大ソロを放つ万波(撮影・木村 揚輔)
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 日本ハムは12日、東京ドームで行われた巨人との練習試合でともに高卒2年目の万波中正外野手(20)、野村佑希内野手(19)が一発を放つなど計5本塁打で快勝。リーグ最少の93本塁打で5位に低迷した昨年からの巻き返しに向け、アピールを続ける両者が19日の開幕西武戦(メットライフドーム)で先発出場する可能性が出てきた。

 いったいどこまで飛ぶのか…。三塁ベンチからナインが身を乗り出す。左翼の亀井は一歩も動かない。左翼席を越え、2階バルコニー席でその打球は弾んだ。推定140メートルの特大弾。歓声はない。万波は静かなダイヤモンドを悠然と一周した。

 「飛距離は十分だと思ったので、あとは切れるか切れないか。大きな違いなので、本当に切れずに入ってくれて良かったです」

 沼田が投じたフルカウントからの7球目、133キロスライダーに反応した。そこまで6球中5球が変化球で直球に差し込まれない準備をしつつ変化球のタイミングで待った。「それが功を奏した」。そう話す通りに相手を見て感じ柔軟に対応。成長がそこにあった。

 自ら「自分の感覚でやりたいタイプ」という万波。だが、それが高い身体能力と飛距離を発揮する妨げだった。変化は昨秋から。新任の小笠原ヘッド兼打撃コーチの下で徹底的に振り込み、1軍に抜てきされた今春キャンプでは「自分は野球が下手だ」と1軍レベルを痛感。己の未熟さを知り、先輩やコーチの声に耳を傾けた。「去年とは全然違うよね。相手を見ながら勝負でき始めた」。栗山監督はそう評価した。

 同期へライバル心が強く、この日も同回の直前に野村が一発。「ジェームス(野村)が打って力が入るとこで割と普通に行けた」。周りが見えるようになった証だった。9回守備でも左打者・亀井の左翼線へ切れていく飛球を好捕。近藤ら先輩野手から左打者の打球の特性をしっかり聞いていた成果だった。

 小学2年のとき、東京ドームで初観戦した巨人戦で本塁打を打ったのが、今の小笠原コーチ。そんな思い出の地で放った特大弾が夢を広げた。「開幕スタメンとかないかな、万波」と言った栗山監督は続けた。「全員に、最後の最後まで開幕のチャンスがある」。野村とともにプロ2年目の2人が開幕スタメンならば球団史上初。決して夢物語ではない。 (秋村 誠人)

 ◆万波 中正(まんなみ・ちゅうせい)2000年(平12)4月7日生まれ、東京都出身の20歳。コンゴ出身の父を持ち、横浜では夏の甲子園に3年連続で出場。3年夏は3回戦で吉田輝を擁する金足農に敗れた。高校通算40本塁打。18年ドラフト4位で入団。1メートル91、95キロ。右投げ右打ち。

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2020年6月13日のニュース