阪神・藤川 復帰戦は1回3人斬りで零封 腰の違和感なく「痛みも出なかった」

[ 2020年6月10日 05:30 ]

練習試合   阪神1-8広島 ( 2020年6月9日    マツダ )

<練習試合 広・神> 9回に登板して1イニングを無失点に抑えた藤川(撮影・大森 寛明)
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 阪神の藤川球児投手(39)が9日、広島との練習試合(マツダ)の9回に登板し1回3人斬りの零封で全快をアピールした。3日の同戦で腰の違和感を訴え緊急降板し状態を心配されたが、結果と内容で不安を一掃した。開幕まで9日。猛虎の守護神は万全の状態で2020年シーズンを迎える。

 百戦錬磨の守護神の表情、投球に「不安」の二文字は見当たらなかった。藤川は試合後、丁寧に右腕を振った16球を振り返った。

 「(体の状態は)もちろん気にしながら、自分の思っている通りに体が動くかっていうところで。この前(3日)はあまりにも動きが悪かった。今日は徐々に良くなっていった。痛みも出なかったし…。ほっとしてます」

 特別ルールの中、本来は存在しない劣勢の9回裏に登板。エドワーズ、スアレスと本番さながらの方程式の“締め”を務めた。先頭の安部を146キロ真っすぐで左飛に仕留めると、巨人時代から対戦を重ねてきた長野は詰まらせて三飛。三好には粘られながら8球目のフォークで空振り三振を奪い、さっそうとマウンドを降りた。「シーズンで最後(クローザー)やっていくので当然、その練習に」。状態を確かめる登板ながら、緊張感も胸の内に秘めていた。

 「小休止」も収穫の時間と捉える。3日の広島戦で腰の違和感を理由に21球を投げたところで緊急降板。「どうしても調整を急いでいる分、かみ合わなかったりする」とギアを上げていく段階で生じた歯車の微妙なズレを明かした。「いつも何かに気づく時は何かが起こるんですよね。正解を導き出す時間。それが調整なんで」。表面的にはアクシデントでも、視線は絶対に落とさない。

 「ちょっと痛めたことで、いい軌道でボールが投げられるか確認する時間にもなった。故障のおかげて気にすることができて、丁寧に入っていくことができそう。臆病なまま開幕を迎えるよりは、自分のやり方はどんどん前に向かっていって調整をしかけていく」

 ベンチから見守った矢野監督も「今日のボールを見ていたら大丈夫やなという感じは見えた。(守護神は)球児で決めている」と改めて9回を託すことを明言した。

 最速は148キロで「(状態は)まだですね。まだ70%のボールが出たり、90点のボールが出たりする」と自己分析。見据える先も「開幕」ではない。「終わった時の結果が全てなんで。始まるまではどんな結果でもいい。(シーズンの)終わりがどういう風になるか想像してやっていきたい」。幸せな結末を描くからこそ、どんな序章をも糧にできる。(遠藤 礼)

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2020年6月10日のニュース