福島・聖光学院 夏14連覇は持ち越し 斎藤監督「掛ける言葉が見つからない」

[ 2020年5月21日 05:30 ]

夏の甲子園、地方大会中止

取材に応じる聖光学院・斎藤監督
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日本高野連は20日、運営委員会を開き、第102回全国高校野球選手権大会(8月10日開幕予定、甲子園)と地方大会の中止を発表した。13年連続で甲子園に出場していた聖光学院の斎藤智也監督(56)は、「僕の人生で一番の試練」と無念さを口にした。

 小雨が降りしきる中、聖光学院ナインは複雑な気持ちで練習した。夏の甲子園の中止が発表されると、斎藤監督は無念の表情で報道陣の前に現れた。

 「決定を受け止めるという言葉しか残らない。命懸けでやってきた選手にも掛ける言葉が見つからない。このような状況は味わったことのない、僕の人生で一番の試練」

 戦後最多となる13年連続で甲子園に出場している聖光学院。今年は戦前の和歌山中(現桐蔭)の14年連続出場(1915~28年)の大記録に挑むはずだったが、持ち越しとなった。インターハイなど中高生の大会はほぼ全てが中止となったが、斎藤監督は「高校野球はアマチュアの国技だと思っている。責任も大きい。そして、甲子園があったから選手は我慢できたし、追い込める部分があった」と最後まで大会開催を願っていた。

 大会中止の検討が明らかになった翌日の16日、部員を集め、教室で約3時間の緊急ミーティングを開いた。中止を覚悟した話し合いだった。目を閉じた選手に、斎藤監督が問い掛けた。「引退したい選手はいるか」。誰も手を挙げなかった。19日からは一部練習から全体練習に移行させるなど、聖光ナインは複雑な気持ちを抱えながらも体を動かした。

 斎藤監督は「大会がなくなったら目標がなくなる。夏は何かしらやってあげるべき」と代替大会の開催を望んだ。昨秋は学法石川に県大会初戦で敗退したが、この絶望の中でも前に進む聖光ナインを指揮官は評価する。「ひと冬越えて、自分たちの弱さを受け入れて凄く成長した。選手を負け犬のまま終わらせたくない。借りを返したい」。新チームは公式戦未勝利。秋の雪辱でもある“夏14連覇”を新たな目標に設定する。

 父母会も甲子園の開催を求め、最後まで署名活動などを行っていた。その感謝を選手は忘れてはいない。「現状を受け止めないと前に進めない。選手たちがいろんな方々に恩返しをする歩みを見てほしい」と斎藤監督。今年も夏の主役となることを信じ、絶対王者が前進していく。(近藤 大暉)

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2020年5月21日のニュース